パッと花火が、夜に咲いた、夜に咲いて、静かに消えた。

 DAOKO×米津玄師の新曲「打上花火」が、歌ネットのデイリーアクセスランキングで連日1位を記録し、ウィークリーランキングでも首位に君臨しました!切なく儚く美しいピアノのイントロで幕を開けるこの曲は、米津玄師が作詞作曲。8月16日リリースの“DAOKO”ニューシングルタイトル曲であり、8月18日より公開の超注目アニメーション映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌です。

繰り返す夏休みの1日、何度でも君に恋をする。

 そんなキャッチコピーが掲げられているこの映画。主人公のノリミチ(菅田将暉)が想いを寄せるクラスメイトのなずな(広瀬すず)は、母親の再婚により転校することに。その現実から逃亡するため、二人はかけおちを計画するのですが、結局なずなは母親に連れ戻され、ノリミチは彼女を救うことができませんでした。しかし、後悔する彼の運命を動かすのが、時間を巻き戻せる不思議な玉。そうして彼らは“あの日”を何度も何度も繰り返してゆくのです…。

あの日見渡した渚を 今も思い出すんだ
砂の上に刻んだ言葉 君の後ろ姿

寄り返す波が 足元をよぎり何かを攫う
夕凪の中 日暮れだけが通り過ぎて行く
「打上花火」/DAOKO×米津玄師

 さて、映画のラストを彩る主題歌「打上花火」の歌詞に描かれているのは、現在から見つめる過去です。おそらく<寄り返す波>や<日暮れ>が、淡々と流れてゆく無情な時間を表しているのだと思います。もう、あの日<砂の上に刻んだ言葉>は波や風に攫われ消えてしまい、忘れられない<君の後ろ姿>も見えないのでしょう。しかしその中で、夕方に海辺が無風状態になる<夕凪>というワードからは、どこか“時間の停止状態”が伝わってくる気がしませんか?

パッと光って咲いた 花火を見ていた
きっとまだ 終わらない夏が
曖昧な心を 解かして繋いだ
この夜が 続いて欲しかった
「打上花火」/DAOKO×米津玄師

はっと息を飲めば 消えちゃいそうな光が
きっとまだ 胸に住んでいた
手を伸ばせば触れた あったかい未来は
ひそかに二人を見ていた
「打上花火」/DAOKO×米津玄師

 そして<夕凪の中>にひとり立ち尽くす瞬間、パッと鮮明にフラッシュバックする記憶が、サビ部分に込められているのではないでしょうか。言葉はすべて過去形であるのに、そのときの景色も感情も、まるで“今この瞬間”のものであるかのように胸に迫ります。また、この歌の花火がこんなにも美しく感じられるのは、終わるとわかっていながら、それでも「消えないで」と切実に願う二人の想いの美しさが重なるから…。

パッと花火が
夜に咲いた
夜に咲いて
静かに消えた
離さないで
もう少しだけ
もう少しだけ
このままで
「打上花火」/DAOKO×米津玄師

 尚、1番のAメロBメロは“DAOKO”のソロボーカル、2番のAメロBメロは“米津玄師”のソロボーカルですが、サビでは二人の声が一つになるんです。さらに、上記のフレーズは交互の掛け合いになっており、最後の<このままで>という言葉で、またお互いの声がピタリと重なります。なんだか、同じ思いを抱きながら“打上花火”を見つめる典道となずなの姿が見えてきそうですね。
 
 もしも、あのとき…。もう一度、時間を戻せたら…。そんな想いから“夏のある一日”を繰り返す、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の二人。その果てにたどり着く運命とは?そして、花火が打ち上がるときに起きる、恋の奇跡とは…?エンディングで、DAOKO×米津玄師「打上花火」はわたしたちの心にどのように響くのでしょうか…!

◆紹介曲「打上花火
作詞:米津玄師
作曲:米津玄師