ありがとうとか伝えられたらいいけど、大人はやっぱり先に死ぬから。

中学の時の先生がさ
「“やろうと思ってた”と“やる”の間には
実は大きな川が流れているんですよ」
って言いやがって。
当時、ウゼーなーと思って聞いてたけど
今ならわかる。
(映画『ボクたちの交換日記』より)

 これは、売れないお笑いコンビの生きざまを描いた映画『ボクたちの交換日記』(伊藤淳史×小出恵介ダブル主演)で放たれたセリフです。みなさんも、先生や親や上司などの身近な“大人”から教訓めいたことを言われてイラッとしたり、見当違いに諭されてモヤッとしたり、聞く耳を持たなかったりした経験、一度はあるのではないでしょうか。「大人の言うことを聞け」なんて言われても、すんなり受け入れるのはなかなか難しいんですよね…。でも、だからこそ、聴いていただきたい新曲があるんです。

 シンガーソングライター“NakamuraEmi”が2017年3月8日にリリースしたニューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』に収録されている新曲で、タイトルはずばり「大人の言うことを聞け」。彼女はこの曲についてまず『「そんなのやってみないとわかんないじゃん」「私の何がわかるんだ」と大人によく反発していた私。でも今は10代の方と話をしてると、「それは…」と私が口だししそうになります』とコメントしております。では何故、彼女自身が“口だししそう”な大人へと変わろうとしているのでしょうか。その理由を歌詞と共に追っていきましょう。

君達から見たら私はおばさん
ちょっと気をつかってギリギリお姉さん

でも世の中へ一歩出てみたら
先輩方ゴロゴロ私はまだ若造です
昔散々言われた「大人の言うことを聞け」
「は?聞けるか!そっちこそこっちの空気を読め!」

大人が正解なわけじゃない 国が変われば正解もかわる
「昔はあー 今はこー 政治はそー これだからもー」
かっこ良いかっこ悪い大人も 一望出来るのは君達だ
「大人の言うことを聞け」/NakamuraEmi

 <君達から見たら私はおばさん>と、そんなフレーズで幕を開ける歌。現在35歳の“NakamuraEmi”が、35年間の経験を積んだからこその言葉で私たちに語りかけます。ときには「は?聞けるか!そっちこそこっちの空気を読め!」…って言いたくなること、ありますねぇ。「昔はあー 今はこー 政治はそー これだからもー」…って理屈ばっかりの大人にウンザリすること、ありますねぇ。でもそれはおそらく自分たちがまだ大人を<一望出来る>余裕のある、“仮入部”のような状態であるからなのでしょう。

大嫌いな先生のむかついた言葉が
二十年後になった今意味がわかった
言ってくれてありがとうとか伝えられたらいいけど
大人はやっぱり先に死ぬから

純粋にものを見れるから これをやりたいという君達
「頭ごなしー 反対かー 家出ていくよー それならばもー」
若い頃かいた恥を君に 味わわせたくはないのだろう
「大人の言うことを聞け」/NakamuraEmi

 <大嫌いな先生のむかついた言葉が 二十年後になった今意味がわかった>…これは、冒頭でご紹介した映画のセリフに通じているようでもあります。大人に“本入部”した人々は、仮入部の後輩たちに自分が<若い頃かいた恥を>味わわせたくないのかもしれないですね。それゆえにお節介な教訓やアドバイスをしてくるのでしょう。でもその気持ちに気づけるのは、自分がちゃんと“大人”に入部できてから。そしてそのときに<ありがとうとか伝えられたらいいけど>、悲しいことに、<大人はやっぱり先に死ぬ>のです…。

でも大人の言うことを聞け 決して言う通りにしろじゃない
大人になったら逆に
誰も何も言ってくれない
大人の言うことを聞け 決して言う通りにしろじゃない
光っていたら信じて
腐っていたら反面教師
聞いて 流して 信じて 捨てて 良くも 悪くも お手本だ
眼鏡拭いても世界は変わんない まず若造が背筋正して

子どもと大人の真ん中のこの曲も聞いて捨てろ
「大人の言うことを聞け」/NakamuraEmi

 だからこそ、NakamuraEmiは「大人の言うことを聞け」と歌います。その聞いた言葉を信じるも、捨てるも、自分次第。大人に入部してしまえばもう<誰も何も言ってくれない>から、とにかく“仮入部”の段階で、なるべくたくさんの<お手本>を知る必要があるのです。本入部したときに、自分が思うかっこ良い大人であるために…。尚、彼女が綴ったこの曲に対するコメントには次のような続きがあります。

「自分が経験した事で道案内をしてあげたくなっているのかもしれません。大人の言ってる事がただ自分勝手に言ってる事なのか、いつか君の為になると思って言ってる言葉なのか、受け止め方は君次第。でもどちらかわからないのもしょうがない。それならば大人の言う+「言葉」を沢山聞いた上で、納得したり、そんな風にはなりたくないと思ったり、いい見本も悪い見本も全部自分に蓄えて、何十年後に君らしいかっこいい大人になれますようにと思って書いた曲です」(NakamuraEmi)

 このように、NakamuraEmiが道案内をしてくれているようでもあるのが新曲「大人の言うことを聞け」なんです。さて、まずは<子どもと大人の真ん中のこの曲も聞いて>ください。そして、この歌詞が伝えようとしている思いを<信じる>か<捨てる>かは、自分次第…です!

◆2nd Album『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』
2017年3月8日発売
通常盤 COCP-39890 ¥2,700+tax

<収録曲>
M1 Rebirth
M2 大人の言うことを聞け
M3 晴人
M4 ボブ・ディラン
M5 ヒマワリが咲く予定
M6 ハワイと日本
M7 めしあがれ
M8 メジャーデビュー