母にもらったこの名前を、父から受けついだ名前を…。

 シンガーソングライターの“片平里菜”が約1年ぶりのニューシングル「なまえ」を3月1日にリリースします。タイトル曲のテーマは<家族>。この曲について彼女は自身のブログで「自分はなんなのか、なにになりたいのか、どこから来たのか、辿っていくといつも幼少期の記憶に辿り着きます。そして、制服やブランドやアクセサリー、性別、生きてきた環境、世間体、何を脱いでも、名前という愛着だけが残りました。」と語っておりました。今日のうたコラムではそんな“名前”にまつわる新曲をご紹介いたします。

覚えたての鏡の文字で 一生懸命書いた手紙を
いつも喜んでほめてくれた
大事にしまっておいてくれてた
時々母は泣いてて 父は怒ってた
聞きたくなくて兄はテレビを見てた
ただ皆がいればうれしかった あの団地は今もあるのかな

大人になればいずれ気付く うっとうしいくらいの愛を
歩くことを覚えた日から もうひとりの人になる
「なまえ」/片平里菜

 綴られているのは、彼女の幼少期の記憶です。きっと<一生懸命書いた手紙を>喜んでほめてくれるたびに家族は「里菜すごいねぇ!」「里菜ありがとう。」とその名前を呼んでくれていたのでしょう。ただ、穏やかで楽しいだけの日常ではなかったことが歌詞からわかります。それでも今、記憶を辿ってみたときに負の感情より<ただ皆がいればうれしかった>という気持ちを思い出すのは、あの頃の毎日にたしかな“愛”があったからですね。それは、大人になった今だからこそちゃんと気づけることなのかもしれません

古里に咲く菜の花 5月になると黄色い花
負けず嫌いなくせに泣き虫で 走り回ってよく転んだ
補助輪はまだ外せなくて 追いかけても 追いつかない
お下がりは少しはずかしい クラスでひとり白いリコーダー

大人になれば忘れていく 与えても与えられた愛を
歩くことを覚えたあとも ひとりでは生きれない
「なまえ」/片平里菜

 <古里に咲く菜の花>のように生きてほしい…。ここで、ご両親がつけてくれた“里菜”という名前の由来が明かされます。片平里菜さんのお誕生日は5月12日であり、その頃の一面の菜の花畑はとても美しいことでしょう。また、菜の花には『小さな幸せ』『快活な愛』『明るさ』といった花言葉もあるそうで、春の香りを運び、人々の心を明るくするその花姿に由来しているんだとか。柔らかな歌声で音楽を運び、聴く人の心を震わせる、まさに里菜さんの今の姿そのものです。

母にもらったこの名前を いつか綺麗に咲かせたい
父から受けついだ名前を いつか立派に旅立ちたい
「なまえ」/片平里菜

 この曲を聴くと、人は時々、しっかり自分の“名前”と向き合ってみることが大切なのだと思わされます。大人になって気づくことも、忘れていくこともたくさんあるでしょう。しかし“名前”とは、生まれて最初にもらった愛、今もこれからも自分の一番身近にあり続ける愛、いつかは誰かに受け継ぐかもしれない愛、人と人の出逢いがあるからこそ生まれるかけがえのない“愛”の存在を、改めて教えてくれるものなのです。
 
 今でも十分、菜の花のように咲き誇っている片平里菜さんですが、これからますます<母にもらったこの名前を いつか綺麗に咲かせたい>、<父から受けついだ名前を いつか立派に旅立ちたい>、そんな思いを叶えてゆくのでしょう。その美しさを、耳に心に焼きつけ続けていきたいですね…!みなさんの名前にはどんな由来がありますか? 是非、そんなことも考えながら片平里菜「なまえ」を聴いてみてください!

◆8th single「なまえ」
2017年3月1日発売
初回限定盤(CD+DVD) PCCA-04500 ¥2000+税
通常盤(CD only) PCCA-04501 ¥1200+税

<収録曲>
M1「なまえ」
M2「ラブソング」
M3「とり」