このまま一人で君を想いながら、年を取って行くのかな…。

嬉しくて泣くのは 悲しくて笑うのは
君の心が 君を追い越したんだよ
「なんでもないや」/RADWIMPS

夏祭りの最後の日
わたがしを口で溶かす君は
わたがしになりたい僕に言う
楽しいねって
「わたがし」/back number

あなたが大きくなるまでに
雨の日なんて何度もある
その中の一度は一緒に濡れた事 
忘れちゃうかな
「友達の唄」/BUMP OF CHICKEN

 冒頭でご紹介したのは、先日、音楽バラエティー番組『関ジャム 完全燃SHOW』に出演した“槇原敬之”が、思わず胸キュンしてしまった歌詞としてあげていた3曲です。マッキーは、歌を聴くときに【歌詞】と【メロディー】と【歌に合った声】を重視しているそうですが、その3条件をクリアして心をくすぐる若手アーティストがRADWIMPS、back number、BUMP OF CHICKEN、なんだとか。歌ネットでも圧倒的歌詞人気を誇る3組ですねぇ。とくに“back number”に関しては以前から音楽番組で「もう切ないラブソングはback numberに任せた」とまでおっしゃっております。
 
 しかし!任せた…なんて言いつつ、やはりマッキーご自身も依然として切ないラブソングを生み出す天才。槇原敬之が2016年12月14日にリリースした約2年ぶり21枚目のオリジナルアルバム『Believer』には、切な〜い名曲もしっかり収録されているのです!尚、<第3章の幕開け>と位置づけられたこのアルバムには、新たなアプローチやアイディアが盛り込まれた新曲を含めた全13曲が収録。今日のうたコラムではその中から、「運命の人」という楽曲をご紹介♪

残念な事に君は
僕の友人に恋してて
彼の事を聞きだそうと
誘われた焼き鳥屋を出た所
帰り道が同じ方向で
送ってけるのは嬉しいけれど
家の前に来ると改まって
礼を言う君がいつも少し寂しい
「運命の人」/槇原敬之

 好きになった人が別のお相手を好きだということはよくある話ですが、そのお相手が自分の友達である場合、なおさらツライですよね。しかも彼女は、主人公の気持ちに気付いておらず、<彼の事を聞きだそうと>誘うのです。つまり<僕>は、好きな人が別の男と結ばれるための“恋のキューピッド”にならなければいけないということ。しかしそれでも“会いたい気持ち”と天秤にかければ、ただの男友達として駆けつけてしまうのでしょう。<家の前に来ると改まって 礼を言う君がいつも少し寂しい>…“いつも”ということは、主人公がもう何度も何度もそんな葛藤と戦ってきたことが伝わってきますね。

見送る道のウィンドウは
秋冬の服を着せられた
マネキンが並んでいて
ダブって僕らが映っている
こういう時どう思うの?とか
どっち貰う方が嬉しいの?とか
男心のサンプリングに
必死な横顔に笑えた

はぐらかす事も出来るけど
真面目に答えてしまうのは
君の恋が上手く行けばいいとも思う
僕もいるから
「運命の人」/槇原敬之

 秋冬の服を見て、早くも彼女は、好きな人に渡すためのクリスマスプレゼントにでも思いを馳せているのでしょうか。そして、そのための<男心のサンプリング>=<僕>…。彼の友達である主人公は、きっと彼好みのデザインなども知っているハズ。ただし、それを素直に教えてあげることがどれだけ苦しいか…。想像するだけでも胸が痛いです。でもこの<僕>は、全てを<真面目に答えてしまう>男なんです。それは<君の恋が上手く行けばいいとも思う 僕もいるから>で、恋する気持ちの苦しさは自分自身が一番よくわかっているから。彼女に幸せになってほしいから。好きだけど、好きだから、協力するのですね。

他の誰かの事を
好きだと知った後でも
いきなり嫌いになれるはずもなく
当面は君を好きなまま
この人こそがきっと
運命の人に違いないと
出会うその度に
思ってしまうのが
恋のやっかいな所だ

夏の終わりの匂いがする
風が今日この街に吹いた
移ろう季節の中で
僕は移ろわない気持ちもてあましている
ハシカみたいな恋だったと
笑える時が来るのかな
それともこのまま
一人で君を想いながら
年を取って行くのかな
「運命の人」/槇原敬之
 
 こんなにも一途でバカ正直で優しくて愛情深い主人公です。きっと他にも素敵なお相手がたくさんいることでしょう。時が経てば新しい恋だって出来ることでしょう。しかし今、彼にとっての<運命の人>は、この彼女ただ一人なのです。たとえ彼女が他の誰を好きであろうとも…。本当に恋はやっかいで、でも、尊いものだなぁと「運命の人」を聴くと思わされます。是非、歌詞を読みながら楽曲を聴いてこの切なすぎる世界を味わってみてください。
 
 ちなみに、これまで歌ネットで数々のアーティストにインタビューをしてきた中で「歌詞が良いなぁと思うアーティスト・楽曲は?」という質問に“槇原敬之”という名前は非常に多く登場してきました。Goodbye holidayのボーカル・児玉一真や、大原櫻子、May J.、奥華子、miwaなどなど…。そして、ニューアルバム『Believer』にも、楽曲によりまったくテイストの異なる“珠玉の歌詞”が満載ですので、全曲要チェックです…!

◆new album「Believer」
2016年12月14日発売
1 Introduction 〜Believer's Theme〜
2 一歩一会(Renewed)
3 不器用な青春時代
4 Souvenir 〜思い出〜
5 運命の人
6 テレビでも見ようよ
7 5 minutes(Renewed)
8 You are what you eat.
9 A HAPPY NEW YEAR
10 信じようが信じまいが
11 理由
12 超えろ。(Renewed)
13 もしも