だからいうのだろう、ありがとう、大丈夫です、おつかれさまです。

 11月23日は<勤労感謝の日>です。戦前は“新嘗祭(にいなめさい)”という農作物の恵みを感じる日だったそうですが、それが1948年に「勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」国民の祝日となったのだとか。いやぁ今日も仕事だよ…!という方もいらっしゃるとは思いますが、すべての方に改めて「おつかれさま」と伝えたい日でもありますねぇ。余談ですが、現在大人気のドラマ“逃げ恥”こと『逃げるは恥だが役に立つ』で、古田新太さんと石田ゆり子さん演じる2人がこんなやり取りをしていました。

男「仕事の半分は“仕方ない”で出来ている」

女「残りの半分は?」

男「“帰りたい”」

 う〜ん、たしかに…(笑)。いつでもモチベーション高く情熱を持って仕事をできることは幸せです。しかし多くの方はやっぱり、右手に“仕方ない”を、左手に“帰りたい”を抱えながら、それでも、生きてゆくために頑張っているのではないでしょうか。今日のうたコラムでは、そんなお疲れな方々に捧げたい楽曲の歌詞を3曲をピックアップしてみました。通勤中のバスや電車の中で、帰り道の月夜の下で、一人残業をしているデスクで、是非聴いてみてくださいませ。

ただ目の前に並べられた仕事を手際よくこなしてく
コーヒーを相棒にして
いいさ 誰が褒めるでもないけど
小さなプライドをこの胸に 勲章みたいに付けて

僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑
「彩り」/Mr.Children

僕をわかってくれる何かを探して
今日もまた 共に歩んだ靴を脱いて終わった

お疲れサマと ビールが染み込んでゆく
誰かに勝てたら もっとうまいのかなぁ

見上げた空 ほほえむ風 泳いでる君
いつもの夜
「缶ビール」/柴田淳

やさしくて強くて 一生懸命で
生きることはただそれだけでも 大変で
その愛も仕事も大切で 頭をさげて
「おつかれさまです」といいかわす ぼくらの国

つらいのはわかってる だけどわからないよ
誰だってそれぞれ 隠した切なさは
ほんとうはいえなくて だから いうのだろう
ありがとう 大丈夫です おつかれさまです
「おつかれさまの国」/斉藤和義

 ミスチル「彩り」の<コーヒー>も、しばじゅん「缶ビール」の<お疲れサマのビール>も、斉藤和義「おつかれさまの国」の<おつかれさまという言葉>も、働く人々には大切なものですね。そして、誰が褒めてくれるわけじゃなくても、自分自身に劣等感や不安を抱えていても、誰にも言えない切なさを隠していても、やっぱり大人は「おはようございます!」と一日をはじめ、「おつかれさまでした!」と一日を終え、“仕方ない”や“帰りたい”気持ちと折り合いをつけながら、今日を戦い抜いてゆくのです。学生の皆さんは、そんな大人にどんな想いを感じますか…?

 ちなみに、人は33歳までに音楽の好みが固まり、新しい音楽への出会いは止まってしまうという説があるらしく、さらに、どんどん音楽自体を聴かなくなっていくそうなんです…。でも、仕事で疲れている大人だからこそ必要な曲はきっとあるような気がします。明日からまたいくつもの「お疲れさま」を繰り返してゆく人々が、どうか少しでも音楽で癒されますように!