歌詞の中で描かれる<トイレ>とは…?生まれる感情とは…?

トイレには
それはそれはキレイな女神様がいるんやで
おばあちゃんがくれた言葉は
今日の私をべっぴんさんにしてくれてるかな

トイレには
それはそれはキレイな女神様がいるんやで
だから毎日キレイにしたら
女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで
「トイレの神様」/植村花菜

 11月10日は“1(い)1(い)10(ト)イレ”の語呂から、トイレの日と呼ばれているそうです。さて、歌詞で<トイレ>といえば、やはり一番に思い浮かぶのは「トイレの神様」ではないでしょうか。植村花菜が亡き祖母との思い出を歌った曲で、小学3年生から23歳の頃までの実体験がベースとなっております。ちなみに実際は、トイレ掃除=金運アップに繋がるというジンクスが有名らしいのですが、それだけでなく成功者の多くがトイレ掃除好きという説もあるんだとか。「トイレの神様」の話をしてくれたおばあちゃんは、本当にべっぴんさんになれるかどうかなどは関係なく、孫にただただ“幸せになってほしい”という気持ちでいっぱいだったような気がしますね…!

 また、家族や恋人と一緒に暮らしている場合、トイレの個室とは“完全に一人になれる場所”でもあります。そのため、トイレにいるとき、人間はとてもリラックスしている状態であり、アイディアが生まれやすかったり、いろんな考えごとをしたりするんだそうです。今日のうたコラムではさらに、<トイレ>をテーマにした楽曲をご紹介いたします。トイレで、主人公たちからはどんな感情が生まれるのでしょうか。歌詞の中で“トイレ”とはどんなものとして描かれているのでしょうか。

憧れあの人としゃべり
あがりあがる顔うつす鏡
笑ったその歯についていた
昼食べた焼きそばの青のり

泣いて巻いて泣いて鼻かんで
泣いて巻いて泣いてちぎって
泣いて巻いて泣いて裏がえし
泣いて巻いて泣いて鼻かんで
泣いて巻いて泣いてちぎって
泣いて巻いて泣いて芯たてて
「また」の間から手を振れば
「また」の間から手を振れば

流れる…
「トイレットペーパーブルース」/大塚愛

久々に連絡ついて
遊びにきたけれど
すべてのことがなんとなく
落ち着かない気分だよ

笑い方も大袈裟で
声もいくぶん大きくて
嗚呼 窓の向こうのお月さん
嗚呼 窓の向こうのお月さん

トイレの匂いも変わったね
ずっと好きだった 君のフレグランス
トイレの匂いも変わったね
ずっと好きだった ずっと好きだった
「トイレの匂いも変わったね」/森山直太朗

死んでほしい人の名を挙げても
元も子もない愚痴を並べても
自分の顔も名前もバレやしない

人の揚げ足を取るための場所
人の気持ちズタボロにする廃墟
叩かれる側の孤独だけではなく
叩く側に回らなくちゃならない 
顔のない群の孤独な叫び
「WC」/高橋優

 まず、大塚愛の「トイレットペーパーブルース」では、トイレでその日あった嫌なことを回想したりして<泣いて>、トイレットペーパーで涙を拭いて、鼻をかんで、水に流すのです。きっと主人公にとって、トイレは心を整理しリセットする場所なのでしょう。そして、森山直太朗の「トイレの匂いも変わったね」では、トモダチ、もしくは元カノの家に久しぶりに遊びに来て、“トイレのフレグランスの匂い”が変わったことから、月日の流れと自分たちの関係の変化を感じています。おそらく最後の<ずっと好きだった>は、<君>に向けられた言葉…。これもまた、トイレでの“回想”と言えますね。

 一方、高橋優の「WC」は前2曲とはまた違った角度からトイレを描いております。匿名でコメントができる“SNS”というものを、トイレのように“人の心の汚いものが集まる場所”として辛辣に表現しているのです。<最高級の料理食べても ブランド品で身を纏ってても WCん中の行為に大差ない>…そんなフレーズが綴られているのは、影で“心の排泄物”を吐き出している人間への皮肉。トイレを掃除するかのごとく、Twitterなどに溢れている誹謗中傷なども綺麗に洗い流せたら良いのですが…。

 しかし、本当にトイレと心は密接に関係しているそうで、「トイレが綺麗な家では犯罪が起こりにくい」なんて話もあるんだとか。もしかしたらトイレを綺麗にすることで、いつもSNSに吐き出している“心の排泄物”なども同時に綺麗になっていく…かもしれません。また、家で一番リラックスできる場所はやっぱりいつでも綺麗にしておきたいですよね!せっかくの<トイレの日>ですので、今日はご紹介した楽曲を聴きながらでも、是非トイレ掃除、してみてはいかがでしょうか!