“ドキドキ”というガソリンが心に溜まっていることはとても大切だ。

 2020年2月12日に“SCANDAL”がプライベートレーベル“her”より第1弾アルバム『Kiss from the darkness』をリリース。アルバムには全11曲が収録。ボーカルのHARUNAは「自信をもって言います、まじで最高のやつです。4人のクリエイティブなエネルギーが大爆発してます」と今作がメンバーにとってかなりの意欲作であることを語っております。
 
 そして、今日のうたコラムでは、多くの楽曲で作詞を務めたドラムのRINAによる歌詞エッセイを3週に渡りお届け!今回はその第1弾。綴っていただいたのは、彼女たちが立ち上げたプライベートレーベル“her”に対する想いと、その気持ちが反映された楽曲「マスターピース」についてのお話。新たな挑戦を目の前にドキドキワクワクしているあなたにイチオシ!是非、エッセイも歌詞もじっくりとお楽しみください…!

~第1弾歌詞エッセイ「マスターピース」~

2019年、春。
メジャーデビュー10周年の節目を通過して数ヶ月が経った私たちは、“her”というプライベートレーベルを立ち上げ、始動させた。プライベートレーベルなんてワードを聞いても、いまいちピンとこない人もたくさん居ると思う。簡単に言ってしまうと、音楽を作る場所・発信地を新しくしたのだ。

レーベル名を“her”にしたのは、ひと目見て“女性が関連していること”をキャッチしてもらえたら良いなと思ったからだ。まさかこんな日がくるなんて想像もしていなかったし、どんな変化が起こるかも曖昧だったけれど、自分たちだけのアトリエが出来たみたいで単純にドキドキした。

音楽みたいな目に見えない、手で掴めないものを作るとき、“ドキドキ”というガソリンが心に溜まっていることはとても大切だ。それが多ければ多いほど長距離を走れるような気がするし、その道中にある良いこと/悪いこと、それによって動かされた心の振れ幅がメロディやリリックになったりするんだと思う。

ガソリンを補充して、真っ新な道の前に立つ。行き先も決めずに“さあ、これからどこへ向かおう?”そんな時に書いた曲が「マスターピース」だ。

何だか想いが溢れすぎて、完成するまで結構時間も掛かったけれど、とっても潔く、迷う暇も与えない程に爽快でパンキッシュな“始まりの歌”に仕上げられたと思う。
――― 第2章が始まる。そんな気分だった。

それからあっという間に1年が過ぎた今、過去最高に自由な気持ちで音楽を作っている自分たちがいる。“SCANDALとはこうあるべき”という考え方や、制作する上でのルール、知らぬ間に自分たちが自らにかけた呪縛から解放された。

それから、レーベルを立ち上げたことに関して、予想以上にミュージシャン達が興味を持ってくれた。フェスのバックヤードなどで何度か話題に上がることもあって嬉しかった。あるミュージシャンは、「“her”になってから血が通った感じがする」と、表現してくれた。

何かに迷ったときこの曲を聴くと“いつまでも怖がらずに挑戦を選べる大人で居たい”と、強気になれた日のことを思い出せる気がする。

これまでとこれからに起きるどんな出来事も受け入れて、剥き出しの自分たちでステージに立つ。重ねてきた毎日を傑作だったと思いたい。マスターピースは、“ドキドキ”を補充するスタンドだ。

<SCANDAL・RINA>

◆Album『Kiss from the darkness』
2020年2月12日発売
通常盤 VICL-65310 ¥3,000+tax
初回限定盤A VIZL-1706 ¥4,000+tax
初回限定盤B VIZL-1707 ¥3,800+tax
完全生産限定盤 VIZL-1708 ¥8,500+tax

<収録曲>
1. Tonight
2. マスターピース
3. Fuzzy
4. 最終兵器、君
5. ランドリーランドリー
6. NEON TOWN ESCAPE
7. セラミックブルー
8. 記念日
9. まばたき
10. A.M.D.K.J.
11. 月