言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きしてご紹介していくこのコーナー。
今回は、SURFACEの3rdシングル「さぁ」のc/w曲「線」で作詞家デビュー。伊藤由奈「Precious」(映画「LIMIT OF LOVE 海猿」主題歌)などの作詞でお馴染みの「野口圭」さんをゲストにお迎え致しました。

野口 圭

代表作

Precious」(映画「LIMIT OF LOVE海猿」主題歌) /伊藤由奈
I'm here」(映画「アンフェア the movie」主題歌) /伊藤由奈
ESCAPE」/ERIKA
小さなクジラ」/綾瀬はるか
灯火」/藤木一恵(小西真奈美)
鍵が開かない」映画「呪怨」主題歌/推定少女
LONG WAY」アニメ「テニスの王子様」主題歌/Ikuo
その他多数。

作詞論

作者の都合で作り上げた虚構のキャラクターではなく、そこに本当の人間が生きているような歌詞を書く。
リスナーの脳を乗っ取るような歌詞を書く。
リスナーが自分で世界観を広げ、奥行きを造り出さずにはいられないような歌詞。

野口さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
元SURFACEのボーカル・椎名慶治が小学生のころからの幼馴染みで、十代のころ彼が音楽を作り始めるにあたって「野口は歌詞が書けるから書け」と何の根拠もなく言い放ち、それから一緒に楽曲を作るようになり、彼らのプロデビューと共に音楽業界に。
Q:
プロ、初作品について
A:
リリースされた順番で言うとSURFACEの「線」という曲です。
始めは「STRIPE & BORDER」というもっと気取った歌だったんですが(笑)、SURFACEというユニットのイメージが固まった後に「もっと単純に『線』だな」とこのタイトルになりました。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
やはり自分が多感な時期に影響を受けたアーティスト、TM NETWORK、FENCE OF DEFENSE 、氷室京介さんなどに書けたら嬉しいです。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
有名なホラー映画「呪怨」の主題歌なんで意外と知ってる人も多いのかもしれませんが、推定少女の「鍵が開かない」という歌を今回は推します。
映画サイドからの「聞いてるうちに頭が狂ってくるような歌がいい」という凄まじいオーダーを受けながら、それを16歳の女の子が歌うポップスとしてどう成立させるかというチャレンジをした作品です。
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
幼馴染みに「書ける」と言われたからなのですが(笑)、うーん、、僕の中に歌詞というものに対する僕なりの価値観があるから。、、、でしょうか。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
続けること。人と繋がること。自分の言葉を信じること。信じられる自分の言葉を持つこと。
歌詞を見る Precious  伊藤由奈

歌ったのが英語が母国語の伊藤由奈さんだったので、決定稿以外にもサビ頭が英語のバージョンや全体的に英語を増やしたものなど、様々なバージョンを作り最終的にあの歌詞になりました。
最初「二人じゃなきゃ愛せない」という歌詞を書いていたのですが、プロデューサーの玉井健二さんに「同じ内容で"愛せない"という否定の言い方じゃなく"愛せる"という肯定の言い方で書いて欲しい」と言われ、今の形になりました。
なるほどと勉強になりました。

■私の好きなあのフレーズ
「信じよう 二人だから愛しあえる」

PROFILE

野口 圭Kei Noguchi

1975年東京生まれ。
元SURFACEのボーカル椎名慶治とは小学生のころからの幼馴染み。
アマチュア時代SURFACEの二人と楽曲制作を続け、SURFACEがプロデビューするのと共に音楽業界に。
提供アーティストはSURAFCE、伊藤由奈、ERIKA、小西真奈美、綾瀬はるか、Kimeru、加藤和樹、大河元気、推定少女、SQUAREHOOD、皆川純子、諏訪部順一、戸松遥、宮野守、NON STYLE、ハリセンボン等。

野口圭ブログ

[CDリリース情報]

Kimeru
「Castor」

YZAB-10721 ¥3,150 (tax in)
2011.11.30 Release
M-1:「Summer Rain」
M-3:「CHAIN OF MIND」

Kimeru
「Pollux」

YZAB-10720 ¥3,150 (tax in)
2011.7.13 Release
M-6:「No Fight No Life」

【これまで登場した作詞家さん】バックナンバー