日本でもレコチョクなどの名前で、すっかりお馴染みになった音楽配信。
携帯でダウンロードしている若者ユーザーも多く、着うた・着うたフルの名称で有名だ。
2008年当時、「そばにいるね」青山テルマfeat.SoulJa、「キセキ」GReeeeNなど、音楽配信からメガヒットが生まれ、現在では、WEBプロモーションやtwitterやYouTubeの口コミマーケティングで100万ダウンロードを記録するアーティストが次々に生まれている。
今回の特集では、「演歌歌謡曲の音楽配信はどうなの?」「いったい、どんな曲が売れているの?」という素朴な疑問に答え、他では見られない「演歌歌謡曲のランキングデータ」を調べ、歌謡曲ファンの好奇心をくすぐり、勝手に結論へと導きます。「iTunes Music Store」のランキング結果(集計:2012年1月1日〜1月22日)は、ちょっと驚きかも(微笑)。


集計:2012年1月1日〜1月22日
iTunes 順位 歌詞検索人気度 曲名 アーティスト名 発売日 オリジナル発売日
1 3位 74.105回 涙そうそう 夏川りみ 2001.3.23 2001.3.23
2 18位 30.196回 時の過ぎゆくままに 沢田研二 1975.12.21 1975.8.21
3 10位 49.493回 愛燦燦 (あいさんさん) 美空ひばり 2008.5.28 1986.5.29
4 1位 338.816回 また君に恋してる 坂本冬美 2009.10.7 2009.10.7
5 17位 32.130回 涙のリクエスト チェッカーズ 1984.1.21 1984.1.21
6 2位 90.790回 世界中の誰よりきっと
中山美穂
2006.2.1 1992.10.28
7 6位 62.124回 大空と大地の中で
松山千春
2003.3.19 1977.6.25
8 5位 62.365回 UFO ピンク・レディー 1977.12.5 1977.12.5
9 4位 70.534回 川の流れのように
美空ひばり 2008.5.28 1989.1.11
10 23位 22.633回 君といつまでも
加山雄三 1974.12.31 1965.12.5
11 25位 20.316回 私はピアノ
高田みづえ 1980.7.25 1980.7.25
12 21位 24.364回 熱き心に 小林 旭 1993.12.31 1985.11.20
13 7位 56.156回 時の流れに身をまかせ
テレサ・テン 2008.5.28 1986.2.21
14 15位 39.430回 ただ泣きたくなるの
中山美穂 2006.2.1 1994.2.9
15 27位 5.924回 島唄
夏川りみ 2002.9.21 2002.9.21
16 13位 40.035回 DESIRE -情熱- 中森明菜 2006.1.11 1986.2.3
17 24位 20.422回 東京 やしきたかじん 2003.12.10 1993.3.25
18 10位 49.493回 愛燦燦 (あいさんさん) 美空ひばり
2006.5.24 1986.5.29
19 11位 46.282回 聖母たちのララバイ 岩崎宏美 2007.4.11 1982.5.21
20 28位 5.094回 夏川りみ 2002.3.21 2002.3.21
21 22位 23.648回 君は1000%
1986オメガトライブ 1994.6.1 1986.5.1
22 26位 19.485回 みずいろの雨 八神純子 2003.3.26
1978.9.5
23 12位 41.176回 松山千春 2003.3.19 1980.1.21
24    ------- 会う 美空ひばり 1963.6.20 1963.6.20
25 16位 38.704回 渚のシンドバッド ピンク・レディー 1977.6.10 1977.6.10
26 8位 56.070回 つぐない テレサ・テン 2008.5.28 1984.1.21
27 9位 54.293回 学園天国 フィンガー5 2000.12.31 1974.3.5
28 19位 25.266回 季節の中で 松山千春 2003.3.19 1978.8.21
29 14位 39.772回 酒と泪と男と女 河島英五 2009.5.25 1976.6.25
30 20位 24.728回 童神〜ヤマトグチ〜 夏川りみ 2004.2.25 2003.9.26

涙そうそう
夏川りみ

時の過ぎゆくままに
沢田研二

愛燦燦
美空ひばり
※ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)、ジャニーズ事務所所属のアーティスト等は
楽曲提供していない為、今回のランキングには登場していない。

 1位は、「涙そうそう」夏川りみ、(オリコンランキングでは、2004年に過去最高の8位)本人の強い希望でこの曲を歌ったというこの曲は、作詞に森山良子、作曲がBEGINの競作で、森山良子 with BEGIN・夏川りみ名義の「涙そうそう」は、歌詞検索でも25万回以上アクセスがある人気曲です。

 2位は、沢田研二の「時の過ぎゆくままに」、1975年発売のジュリー登場で絶句! (o_o)‥。37年前に発売され、当時オリコン1位を獲得。これまでで約92万枚の売上を記録し、シングル・アルバム含め自身最大のセールスとなる曲で、参加ミュージシャンも懐かしい井上堯之バンド がバック演奏をしている。現在、動画サイトで初めて沢田研二を知り、昭和ポップスターのカッコ良さにしびれている女子も増殖中とか。

 3位に美空ひばりの「愛燦燦 (あいさんさん)」美空ひばりが亡くなってから、繰り返し発売されるベスト版などで、同じ曲が3位と18位にランクイン。こちらも昭和の女王が君臨している。

 ランキングを眺めると、最も最近の曲では、2009年発売の坂本冬美「また君に恋してる」が4位。反対に最も古い曲は、'63年の美空ひばり「会う」(お正月TBSで放送された向田邦子新春ドラマスペシャル「花嫁」挿入歌として使われたことが影響していると思われる。また、歌詞が掲載されていなかったため、比較情報がありません。現在は掲載いたしました。)が24位で、何と、46年間にも及ぶランキングがここに成立している。さらに、1965年発売の「君といつまでも」が10位にランクインしている。

   
由紀さおりが米国iTunes
ジャズチャートで1位獲得。
 

由紀さおりが海外で大ブレイクしている。2011年10月12日に発売された、由紀さおり&ピンク・マルティーニ名義による『1969』が、世界22か国で順次売り出され、ヒットしている。

デビュー当時の日本の歌謡曲を日本語で歌った楽曲が、アメリカでは、「iTunes」で配信され、2011年11月2日付ジャズ・チャートで1位に。また、カナダのiTunesワールドミュージック・チャートでも1位に入った。さらに、ギリシャのIFPI総合アルバム・チャートでは4位に。
詳しくは、コチラ

 
   
 

由紀さおり&ピンク・マルティーニ『1969』はEMIより2011年10月12日に発売。

収録曲は、「ブルー・ライト・ヨコハマ」「真夜中のボサ・ノバ」「さらば夏の日」「パフ」「いいじゃないの幸せならば」「夕月」「夜明けのスキャット」「マシュ・ケ・ナダ」「イズ・ザット・オール・ゼア・イズ?」「私もあなたと泣いていい?」「わすれたいのに」「季節の足音」の12曲。

 
   
   
 
Pink Martini & Saori Yuki
ブルー・ライト・ヨコハマ
 
 
Pink Martini & Saori Yuki
マシュ・ケ・ナダ
 

 再販ではなく、オリジナルの発売日という視点で見てみると、
1970年代では、沢田研二の他、ピンクレディーや松山千春も加わり8曲がランクイン。
1971年、ザ・タイガース解散し沢田研二がソロ歌手に転向。TVの歌謡番組が全盛期で、ショーアップした衣装と、インパクトある楽曲で最も歌謡界が光り輝いていた時期に重なる。
1980年代では、チェッカーズ、テレサ・テン、中山美穂など12曲。山口百恵が引退し、松田聖子や田原俊彦がデビューしたアイドル全盛期。ランキングでは中森明菜、岩崎宏美など実力派アイドルがランクインしている。なお、'90年代は3曲のみと少なく70年代、80年代でTOP30の内、20曲を占めている。

 特徴的なランキングを拾ってみると、'63年発売の美空ひばり「会う」が24位、そして'89年の「川の流れのように」9位で、この間、26年間の長きにわたり愛され続けているというのも、女王の由縁であろう。また、2000年代のアーティストでは、大ヒット曲「また君に恋してる」以外は、全て、夏川りみの楽曲というのも驚く。もはや「配信のカリスマ・女王」に決定してもよいのではないだろかと、思うほどだ。さらには、「大空と大地の中で」3位の松山千春が「恋」「季節の中で」という今でもカラオケで人気の名曲を3曲ランクインさせた、北海道の男爵芋にも拍手を送りたい。

 この様なランキング結果を見ると、どう考えても演歌歌謡曲のファンがiPodやiPhoneで、これらの楽曲を聞いている姿は想像しがたい。多分、パソコンの"iTunesプレーヤー"で聞いているのだろう。もはや、パソコンで音楽を聞くという行為は自然なことなのかも知れない。また、同じ時期のJ-POPランキングを見てみると、1位は、ゆずの「栄光の架橋」、2位が斉藤和義「やさしくなりたい」、EXILEやAKB48など、比較的最近の楽曲がランクインしている事を考えると、「iTunes Music Store」の「歌謡曲ファン」は、想像以上の幅広い層に支持されている事が読み取れる。

 以上のように、今回の「歌謡曲ランキングTOP30」の結果が、偶発的なものなか、配信ならではのランキングなのか、微妙ではあるが、これも事実として受け止めたい。
発売から既に30年以上たった楽曲が、現在でも購入できる点など、これまでのCD流通では考えられない事だし、オリコンランキングでは、こんな結果は絶対ありえない。確実に音楽業界を変えつつある、この、配信という音楽形態を、音楽業界がどの様に受け止め、音楽のあり方を再構築するのかによって、「今後、生まれる音楽」そのものにまで影響を及ぼすことになるだろう。
 つまり、過去の作品とか廃盤なんていう観念が無い「音楽配信」は、アーティストにとっては夢の様な販売形態であることは間違いないのだから。
  世界的規模で運営されている「iTunes Music Store」は、これまでのシングルCDとは違い、全ての音楽のあり方を塗り替えたアップルの 世界No.1のミュージックストアであり、日本では、2005年8月4日よりサービスが開始され、1曲の価格は150円〜200円で販売される。また、アルバム一括購入によるミュージックビデオなどの独自特典の添付の他、CDの店頭販売よりもiTunes Storeで楽曲が先行配信されるミュージシャンも多く、新たな市場として確立されている。