前月の歌詞検索ランキングを掘り下げて分析し、キラっと輝くキラー・チューン(名付けて"キラ☆歌")を発掘しようというこのコーナー。今回は、"旧作ランキング・春編"と題して、00年代以前からの人気曲を分析してみた。
 この旧作のみを対象としたランキングは、09年8月に実施したが、実はその時は「碧いうさぎ」の"白いクスリ"効果が、どれほど大きいかを実証するために(14年前の楽曲が旧作中第2位!)意図的に作ってみただけだった。今回は、支持され続ける楽曲の傾向を、真面目に(?)見てみようと思う。

第33回:旧作ランキング・春編TOP20 (2012年4月:2012年3月のデータより分析)
テーマ
順位
前回
調査時
総合
順位
アクセス
指数
楽曲名 アーティスト CD発売日
1位 1位 13 100 キセキ GReeeeN 2008/5/28
2位 22 80.0 3月9日 レミオロメン 2004/3/9
3位 46 53.0 Best Friend Kiroro 2001/6/6
4位 (未発売) 61 44.5 女々しくて ゴールデンボンバー 2009/10/21
5位 (新作) 63 42.8 遥か GReeeeN 2009/5/27
6位 65 41.8 ブルーバード いきものがかり 2008/7/9
7位 67 41.6 EXILE 2007/2/14
8位 80 36.7 栄光の架橋 ゆず 2004/7/22
9位 (新作) 89 33.0 Butterfly 木村カエラ 2009/6/24
10位 (新作) 98 31.5 Believe 2009/3/4
11位 101 31.4 天体観測 BUMP OF CHICKEN 2001/3/14
12位 105 30.5 Sign Mr.Children 2004/5/26
13位 4位 107 30.3 366日 HY 2008/4/16
14位 (新作) 118 28.1 おしゃかしゃま RADWIMPS 2009/3/11
15位 (新作) 119 28.0 気まぐれロマンティック いきものがかり 2008/12/3
16位 5位 121 27.8 One Love 2008/6/25
17位 14位 123 27.4 どうして君を好きになって
しまったんだろう?
東方神起 2008/7/16
18位 3位 125 27.0 愛唄 GReeeeN 2007/5/16
19位 15位 126 27.0 ふたりごと RADWIMPS 2006/5/17
20位 (新作) 129 26.8 milk aiko 2009/2/18
※2009年以前に発売された楽曲を対象に、TOP20のランキング表を作成。
また、前回TOP20(09年9月)は、08年7月以前発売のものを対象とした。

 1位は、前回調査時に続き、GReeeeNの「キセキ」。なんと、発売以来4年間ずっと上位入りしており、これはCDシングルで言うと200万枚クラスのヒットにも相当するほどの殿堂入りの名曲と言えるだろう。2位の「3月9日」、3位のKiroro「Best Friend」、7位のEXILE「道」、8位のゆず「栄光の架橋」などは、前回TOP20圏外だったが、今回集計してみると、大きくジャンプアップしていた。これは、卒業や東日本大震災のエールソングとして、このシーズンに注目を浴びたことが要因だろう。しかし、例えば卒業ソングとしてもっと有名な「贈る言葉」や「旅立ちの日に」といった楽曲よりも、これらの方が歌詞が検索されるというのは、発売当時に楽曲を知らなかった若い世代から「いったいどんな歌だったのだろう」と気にするような魅力があったのだと思われる。これは推測だが、教科書では教えられていないような友情や恋心も描かれていることが大きいのではないだろうか。同様に、11位に「天体観測」や、12位に「Sign」がランクインしていることからも、BUMPやミスチルが常に若い世代のファンが増えていることも分かる。

 これらとは対照的に、08年8月以降の作品で、今回初めて"旧作"の対象となった楽曲で人気なのが、4位のゴールデンボンバー「女々しくて」や、5位のGReeeeN「遥か」、9位の木村カエラ「Butterfly」、10位の嵐「Believe」など。「女々しくて」や、「Butterfly」、他にも前回から連続ランクインのHY「366日」や嵐「One Love」、東方神起「どうして君を好きになってしまったんだろう?」あたりは、"ものまね紅白"や"歌が上手い芸人決定戦"の2回に1回は歌われるほどの定番曲だ。つまり、たとえ本人が歌うことがなくても(東方神起は5人時代の楽曲なので、5人では披露されることもなく・・)、モノマネされて楽曲が残れば、それはスタンダードとして語り継がれることが多々あるということだ。その意味で、特典の種類を増殖させて瞬間的なアイドル・スターを育てることばかりに躍起になっているここ1〜2年の音楽業界は、ちょっと行きすぎだった感じもする。しかし、その反動からか、今年は年初から、女性ソロの実力派が国内外で人気を増しているので、その揺り戻しが始まっているようにも思える。

 以上のように、春の旧作ランキングでは、今聞いても、より若い世代も共感しうるエバーグリーンな旅立ちの名曲が多いことが分かった。今後、季節を変えて集計してみることで、それぞれの季節のエバーグリーンな名曲を探してみたい。また、GReeeeN「キセキ」に対抗する"万年上位"の楽曲が出てくるのか、楽しみにしたい。




キセキ
GReeeeN



3月9日
レミオロメン



Best Friend
Kiroro
 

 ビジュアル系の"エアー"(手ぶり)バンドとして大きく注目を浴びている4人組の代表作で、2009年10月21日に7thシングルとして発売、さらに、その後「女々しくて」から改変された「眠たくて」との両A面シングルとして2011年8月24日に発売。
 今月の急上昇は、間違いなく『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』でオリエンタルラジオが歌唱し、歌の後半には本人まで番組に登場したことが大きなキッカケだが、それ以前からもカラオケの勝負曲としてじわじわと支持を上げ、また深夜のCM空き枠に放送されるハウス食品CM内で「眠たくて」の大量OAしていたことも、急上昇の下地として大きかったのではないだろうか。いずれにせよ、初発売時はオリコン最高位77位だった楽曲だが、今でも大人気という"記録よりも記憶のヒット曲"の1作。最新アルバム『ゴールデン・アルバム』では、このK-POPバージョンなど、より実験的な快作ばかり収録されているので、1曲ではなく、アルバムとして応援したくなるアーティストだ。


※ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
 今月は、第5位の女性ボーカリスト、Ms.OOJAに注目。彼女は、名古屋のクラブでの10年以上にわたる活躍を経て、2011年2月16日、シングル「It's OK」でメジャー・デビュー。以降、2011年に4枚のシングルを発表。白状すると、筆者はシングルだけを聞いていた時、「もう10年早ければ、こういった名前の女性ボーカルも売れたのにな〜」とか、カップリングで、「会いたい」(沢田知可子)や「最後の雨」(中西保志)、「」(森高千里)などのベタな90年代カバーをしているのを聞いた時、「R&Bなのに、こんな所で大衆に媚びなくてもいいのにな」とか、正直ややネガティブな先入観を抱いていた。しかし、発売から数か月経ってから、1stアルバム『VOICE』をきちんと聞いてみたところ、「Beautiful days」や「Dear」など歌い上げるバラードで、ありふれた言葉でも圧倒的な説得力を持つ歌唱に度肝を抜いた。こんな経験は、MISIA以来かもというほどだった。それでいて、アップテンポのナンバーも抜群にキレが良く、もっと早くから聞いておけば良かったと後悔した。
 そんなわけで、現在5thシングル「Be...」がTBSドラマ『恋愛ニート〜忘れられた恋のはじめ方〜』主題歌になったことで、着うたで大ヒットしているが、今後継続的に応援しても、決して損はしないアーティストと断言できる。また、2ndアルバムまで待てない人は、私がギャフン!(死語)と言わされてしまった1stアルバムを聴いていただきたい。




順位 占有率 楽曲 初収録作品 発売日
1 60.7% Be... 5thシングル 2012.2.29
2 5.2% Squall 5thシングル c/w 2012.2.29
3 4.6% ジレンマ 〜I'm your side〜 4thシングル 2011.9.28
4 3.9% Letter 6thシングル「My Way」c/w 2012.4.18
5 3.0% I gotta feel 5thシングル c/w 2012.2.29
6 2.9% Cry day... 3rdシングル 2011.5.25
7 2.8% 最後の雨 4thシングル c/w 2011.9.28
8 2.3% Life 2ndシングル 2011.4.13
9 2.0% 会いたい feat EL LATINO 1stシングル「It's OK」c/w 2011.2.16
10 1.9% Dear 1stアルバム『VOICE』 2011.6.22
※初収録作品は、メジャーデビュー後を対象とする。



つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のヒットに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信などでも愛と情熱に満ちた連載を継続中。Twitterは@t2umusic
 早見優の30周年記念作品の企画提案、監修、ライナーノーツ執筆&本人コメント取材を担当しましたので宣伝(笑)させて下さい。3月28日発売の『Thank YU〜30th Anniversary Single Best〜』 は、2枚組では初のシングル・コンプリート。「夏色のナンシー」以外にも、ヒット曲多数、筆者は「PASSION」がオススメ。そして、4月18日発売の『Thank YU〜30th Anniversary Special Box』は、全オリジナルアルバムを復刻した18枚組BOX。こちらは限定品なので、40代、50代で情報に疎くなった元アイドルファンのおじさんが近くにいらっしゃいましたら、お知らせください。よろしくお願いいたします♪