INTERVIEW
恋が走り出すときのあの感覚は永久保存版。

活動休止前の昨年7月に配信リリースされた「灯台」はすごく素敵なラブソングなので、この曲も今回の復活シングルに収録されていて嬉しかったです。渚さんにとっても大切な1曲だったのではないでしょうか。

黒木:うんうん!すごく気に入っていたし、まずこんなにピュアな曲が出てくることは少ないんですよ。私のラブソングは大抵、なんか女性が馬乗りになっていたりするから(笑)。でも「灯台」は映画『全員、片想い』主題歌としての書き下ろしで、お題をもらえたからこそ書けた1曲だと思います。あと、ファンのみんなも気に入ってくれているのを感じたから、粗末にしたくなくて。私は曲を絶対にCDで保存したいタイプなので「盤にしよう!」って言いまくって、このシングルに入れました。

ラブソングにはご自身の恋愛状況とかって反映されますか?

黒木:いや、時期によります(笑)。恋が走り出すときのあの感覚は永久保存版です。それを細かく日記に書き付けておいて、曲に使うことはよくあるんです。でも、付き合ってしばらく経って落ち着いてくると、妄想とかフィクションの方が多くなるんですよね。

ちなみに、渚さんの理想の恋愛とはどのような関係なのでしょうか。

黒木:やっぱり理想と現実って違うなぁと思っていまして…。哀しいことに、私はかなりダメ男に引っかかる率が高いんです。年下とかバンドマンとかに「してやられたぁ!」みたいな経験がわりと多くて…。

あ…、では“黒木渚”楽曲「アンチスーパースター」の<ステージから君を見つけてピースサイン>というような歌詞は、バンドマンの元カレに対する…?

photo_03です。

黒木:はい、実体験です(笑)。だからこそ憧れるのは、ちょっとおじさんと呼ばれるくらいの年齢で、余裕のある男性とお付き合いをすることですね。本当にただほんわかと思い合いたい。あと、子供みたいに扱われたい(笑)。大体、私がいつも上になってしまうパターンが多かったので、そういう恋愛が理想ですねぇ。

先ほど、恋の始まりを日記に書き付けるとおっしゃっていましたが、渚さんにとって日記は「歌詞や小説のヒントになる大切な財産」だとツイートもなさっていましたね。日記には、例えばどんなことを書くのですか?

黒木:自分の中でルールがあって、まず悪口は書かないんですよ。たとえば「あいつ死ね」とか。そうじゃなくて、解決できることを書く。あと、何を感じたかということと、嬉しかったことを書きます。自己啓発的な側面もあるものだと思いますね。まぁさっき言ったような恋愛の始まりには、むちゃくちゃテンション上がっているから、6ページにわたる壮大な日記を書いたりとか!起きたことをひとつも取りこぼしたくないんですよ。そういうときの気持ちって、読み返すと恥ずかしいんですけど、やっぱり残しておくと後々すごく役に立つので。ただ、私以外の人間が日記を開いたら、ページが酸で溶ける機能を作ろうと思っています(笑)。

渚さんにとって、歌詞を書くことってどんなことでしょうか。

黒木:感情を発散させることが近いかもしれないですね。私はそれこそ、今回みたいに声を失うくらいの大きなことがない限り、基本的にあんまり日常生活の感情にブレがないんですよ。怒ったりとか、哀しんだりとか、落ち込んだりとか。それは何故かっていうと、文字で吐き出し続けてきたからなのかなって思うんです。言いたいことを明確に歌詞にして、音にして、何回歌っても大丈夫な状態になって。多分、そうやって自分の中でクリアしているんじゃないですかね。

歌詞が良いと思うアーティストや楽曲を教えてください。

黒木:村下孝蔵。「しゃぼん玉」とか「初恋」とか「踊り子」とか、感性がぶっ飛んでいるというか、理解はできるんだけど、なんでこんな表現を思いつくんだろうって曲ばかりです。<つまさきで立ったまま 僕を愛してきた 狭い舞台の上で ふらつく踊り子>って、ちょっと無理して恋愛している感じを踊り子に重ねたり。あと<しゃぼん玉 だんだん薄くなる さみしくてとりたくなる>ってフレーズとかも、あーわかる!素敵!って思います。すごく尊敬していますね。

ありがとうございました!最後に、歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

黒木:声を取り戻しての再出発なので、今までみたいなプロレスっぽい勢いのあるステージだけじゃなく、臨機応変に工夫して、しなやかに軽やかにライブをやっていきたいと思っています。また、新たな音楽以外の領域からもいろいろなヒントを得て、良いライブ作りをしていきたいというのが夢なので、みなさんも是非、ついてきてください。


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