INTERVIEW
一番に考えたのが、俺が死んだ次の日のことだったんです

そして、ko-daiさんが死と直面したからこそ生まれたのが、この新曲「一生一瞬」なんですよね。

ko-dai:手術のあと、一週間ずっとICUにいたんですけど、白い壁に囲まれて、今が何時かもわからない状態で、ただただ考える時間しかなかったんですよ。その時に改めて「死ぬかもしれない」って言われた時のことを思い返してみたんです。なんか自分は「あ、そうなんだ。まぁいっか」くらいの受け止め方をしていたなぁって。

怖いとか不安、という気持ちではなかったんですか?

ko-dai:はい、覚悟したというか。まず一番に考えたのが、俺が死んだ次の日のことだったんですよ。俺が死んだ次の日は、朝の情報番組とかで特集されて、Sonar Pocketの曲がデジタル音楽配信サイトを独占しているんだろうな、とか…。死ぬかもしれないって時に考えたのは、ソナポケの未来でした。でも、助かって。じゃあなんで死んでもいいやって思ったのかと考えてみたら、それは悔いのない毎日を生きていたからではないなって。どこか自分は、生き続けたいって思えるような毎日を過ごせていなくて、失ってもいいと思ってしまうような人生だったんじゃないかなって。

photo_02です。

なるほど…。

ko-dai:だけど「無事でよかった」とか「生きていてくれてありがとう」って言ってくれるmattyとeyeronがいて。同じように思ってくれたファンの皆さんやスタッフさんたちもいて。それなのにあの時、死んでもいいと思ってしまった自分をすごく後悔したんです。ICUで、そんなことをずっと考えていたら、俺はこの一瞬のなかで、周りにいる人たちをもっともっと大事にできるはずだろうと感じました。倒れる前は、それができていなかったから「みんなを悲しませないように絶対に生きないと」って思えなかったんですよね。だからこそ、そうやって一瞬一瞬を大事にすることが、一生を大事にすることなんだなと気づいて。それでICUを出たあとに、この歌詞を書きましたね。

最初に浮かんできたのは、どのフレーズでしたか?

ko-dai:<一生は一瞬です>。メロディーもなく、言葉だけが降りてきて、初めて詞先という形で曲が出来ましたね。最初は「一生は一瞬です」っていうタイトルのポエムを書こうと思っていたんですよ。でもこの言葉は、自分の中から自然に出てきたものなので、もっと大事にしようと思って、ちゃんと歌詞として書こうって。

私は<いつかあっちでも出会って一緒にいよう 決して終わることがないように 約束しよう>というフレーズに救われるなぁと思いました。もちろん死ぬのは怖いんですけど、そう言い合える相手がいるだけで全く違うというか…。

ko-dai:そうですね。終わらない命ってないから、別れは回避できないもので。でも人って、誰かが亡くなって、お葬式とかで最期のお別れですって時に、身近な人であるほど何度も「またね」って声をかけるじゃないですか。俺も入院する二ヵ月前にばあちゃんが亡くなっているんですけど、「ばあちゃん、またね」って言っているんですよ。同級生が自殺した時もやっぱり「またな」って言っているんですよ。ってことは、亡くなった人とどこかでまた会えるって自然に信じているってことだなと思って。だからこのフレーズは、人は必ず死ぬし、今日このあと亡くなる可能性だってあるし、人生ってそういうものだからこそ、生きているうちに次の約束もしておきたいという気持ちで書きました。

ko-daiさん自身も死と直面したからこそ、こういう“命を越えた愛”のようなものを描けたところもあるのかもしれないですね。

ko-dai:もし、この経験をしていなかったら、だいぶ曲がメルヘンチックなんですよね。この<いつかあっちでも出会って一緒にいよう>という一文を取ってもそうですし。これまでも“生まれ変わっても一緒にいよう”みたいなことは歌っていたんですけど、“あっち”っていう俗にいうあの世のような言葉は出したことがなくて。なんか…夢を見たんですよ、俺。手術をした日に。これ言うと心霊現象っぽくなるんですけど。

どんな夢だったんですか?

ko-dai:まずICUに亡くなったじいちゃんとばあちゃんがいて。あと部屋中に、多分そこで亡くなった人たちだと思うんですけど、すげーたくさんいて。いろんな人がいろんな方向をボーッと見ているなかで、じいちゃんばあちゃんだけ鮮明にカラフルで、こっちを見ていたんです。それで「あんた、まだやり残してることあるんでしょ?」って言われて。俺は「あるよ」って答えて。そしたら「それをやりなさい」って。あれって、あの世だったのかもしれないなぁって思ったんです。だから無意識に歌詞にも“あっち”って言葉を使っていたのかわからないですけど、なんかそういう世界があるのかなぁ、あったらいいなぁと思ったところはありますね。

また「一生一瞬」は、まったく相手に何かの見返りを求めていなくて、もう<君が生きてくれることで 僕は生きたいと>思えるという、究極の愛を描いていますね。

ko-dai:そうなんですよね。この曲には、自分がこうしたいと思ったことだけを書きました。やっぱり俺があの時に死んでもいいやって思ってしまった分、逆に、ファンの方々にとっての“人生を失いたくない理由”に俺らがいたらいいなって思ったんです。死にたいとか死んでもいいって人がいるなら、ソナポケのライブに行きたいから、ソナポケの曲を聴きたいから、まだ生き続けたいと思ってほしい。で、そんなあなたが生きてくれてるから、俺も生きたいと思うよってことなんです。だからかなりここは、応援してくれている人たちに向けて書いたフレーズですね。


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