INTERVIEW
「歌詞は自分そのものですね。」

ではここからもう少し曲作りのことについてお伺いしたいと思います。音楽をはじめたきっかけは洋楽のアーティストだとおっしゃっていましたが、邦楽で影響を受けた方はいらっしゃいますか?

chay:一番は、松任谷由実さんですね。小さい頃から家族でライブに行ったりしていました。松任谷さんの歌は言わずもがな素晴らしいですし、物心ついてから歌詞も大好きになったんですけど、小さい頃は歌の内容はそこまで理解できないじゃないですか。でも、パフォーマンスだったり演出だったり衣装だったりっていうところで、すっごく楽しかったんですよね。シンディ・ローパーにも通じますけど、耳だけじゃなく目でも楽しませてくれるエンターテインメント性がとても魅力的で。今でも本当に憧れです。だから私自身のライブでも、視覚的にもワクワクするような演出だったりとか、衣装を7回着替えたりとか、そういう部分もこだわって大切にしています。

普段、曲作りはどのようにおこなっているのでしょうか。

chay:歌詞は、思いついたらすぐにノートへ書き留めています。曲は大体「よしやろう!」と思って、ギターでコードを弾きながらメロディーを乗せていくことがほどんどなんですけど、メロディーもたまにふと思いつくんです。鼻唄を歌っていていいなぁと思う時もありますし。そういうときはもう、お風呂の中でも、電車の中でも、お散歩中でも、レコーダーで録っておくようにしています。一回夢の中でも良いメロディーが浮かんだことがあって(笑)。寝ぼけ眼でむにゃむにゃ言いながら録ったこともありました。

photo_02です。

歌詞を書くときに大切にしていることはなんですか?

chay:その時その瞬間にしか感じられない気持ちは大切にしていますね。心はどんどん成長していくし、良くも悪くも変わっていってしまうものなので。「nineteen」という曲なんかは、まさに19歳の私にしか感じられなかった思いを書いているので、今の自分でも、それより前の自分でも書けない曲だと思います。だから歌詞は自分そのものですね。日記というか、書いた曲を聴くだけで「あ〜こういうことあったなぁ」とか「あの時こんなことを思っていたんだなぁ」とか、全てがリンクしています。

言葉のインスピレーションは、どんなところから受けることが多いですか?

chay:映画が好きなので、その中のセリフとか映像から刺激を受けることが多いですね。父も映画好きなので、夜仕事から帰ってきて一緒に作品を選んで観るんです。あともうひとつ、これはちょっと珍しいことなのかもしれないですけど、お買い物をして可愛い洋服とかを見ているときに曲のイメージが湧くようなこともあります。

それは他のアーティストさんから聞いたことがないですね!視覚的なところから刺激を受けることが多いのでしょうか。

chay:そうなんです。洋服を見ると「こういう衣装で、ああいうテイストのサウンドで、ああいう歌詞を歌ったらピッタリだな」という思いが湧いてきて、そのアイデア先行で曲を作ることは多いですね。ライブで衣装にもこだわっていると言いましたけど、曲も常にライブを想像しながら作っているので、同じように耳だけじゃなく、視覚的なものや匂いなども込みで成り立つよう歌にしたいんですよね。

chayさんの【座右の銘】はありますか?

chay:【練習は不可能を可能にする】という言葉ですね。ギターをはじめた19歳の頃、音楽塾に通っていたんですけど、そこがものすごいスパルタ教室だったんです。「今日までにこれ弾けるようにならないと帰さない」とか「明日までにこれ弾けるようにしてこい」っていう厳しさで。初心者にとっては「こんなの弾けるわけない!」って言いたくなるようなフレーズを突きつけてくるんですよ(笑)。でも諦めそうになっても、同じフレーズを何時間も何百回も練習をしていると、ある日突然めちゃくちゃ簡単に弾けるときが来るんです。その“不可能が可能になる瞬間”の達成感と喜びをギターを通して初めて味わいました。こんなにも幸せなことなんだって。だからその言葉は今も大切にしていますね。

歌詞が良いなぁと思うアーティストを教えてください。

chay:洋楽なんですけど、ケリ・ノーブルさんの「夢が叶うまで」っていう歌詞には本っ当に救われました。夢を叶えようとしている女友達に向けて書いている曲です。その子はいろんな壁にぶつかって挫折しそうになっているんですけど<今までを思い出してごらん?今までだって乗り越えてきたじゃない。それを私が知っているんだから大丈夫>って励ますような歌詞で…。この曲をちょうどテラスハウスの苦しい時期に友達が送ってきてくれて、もうまさに自分のための曲に思えてしまうくらいその時の私にピッタリだったんです。毎日屋上でこれを聴いて泣いていました。今でもこの曲を聴くと涙が出ちゃいますね。

chayさんはこれから、どんなアーティストになっていきたいと思いますか?

chay:やっぱり自分らしい、chayらしいスタイルをもっと築き上げていきたいですね。あとは、耳でも目でも楽しんでもらえるエンターテイナーとしても成長していきたいです。より非現実的・非日常的な世界をライブで提供できるアーティストになれたらいいなぁと思います。

最後に、歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

chay:曲は、3分4分のなかにその人の人生が詰まっていたり、ものすごいエネルギーが注ぎ込まれているものなので、是非、1曲1曲の歌詞を大切に見ていただけたら嬉しいです。あと私自身、曲との出会いで背中を押されたり、勇気をもらえたり、元気になったり、悲しみに寄り添ってもらえたりしてきたんですけど、今はそれを逆の立場で、聞いてくださる方に発信できるのがとてもうれしいです。皆さんにも、自分の人生を変えるような大切な一曲を歌ネットで見つけてほしいなと思います。


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