真逆の気持ちで本音を叫ぶ、クリープハイプ流ラブソング!

 2001年に結成され、2012年にメジャーデビューを果たした“クリープハイプ”!2013年にリリースした3rdシングル「憂、燦々」が資生堂アネッサのCMソングに起用されて、ボーカル・尾崎世界観の唯一無二なハイトーンボイスが一気にお茶の間へ広まり、話題となりました。今や、他バンドの追随を許さないライブ・フェス・イベントの動員数を誇るロックバンドとなった彼らの、最大の魅力はやはり“歌詞”です。尾崎が紡ぐ、切なく、捻くれた、でも真っ直ぐに人の心へ突き刺さるフレーズは、歌ネットでも絶大な人気を誇ります。

 そんなクリープハイプが9月30日にニューシングルをリリース!タイトル曲「リバーシブルー」は広瀬すず出演の明星「一平ちゃん」CMへの書き下ろし楽曲。<会いたくない 会いたくない 会いたくない>と繰り返されるほどに増していく不器用な“真逆な気持ち”が胸を打つラブソングです!自分でもめんどくさいと痛感するほど、物事や感情の裏側まで考えてしまうと言う尾崎世界観の、“歌詞”へのこだわりについて、たっぷりお伺いいたしました!
リバーシブルー 作詞:尾崎世界観 / 作曲:尾崎世界観
いつも曖昧な不安定なありきたりな 「君と世界を」とか
そんな気持ちとは真逆のアレでも 会いたくない会いたくない会いたくない
そんな気持ちとは真逆の気持ち

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INTERVIEW
「女の人の気持ちはまったく理解できない」

“尾崎世界観”という名前は、「世界観がいいね」と言われることに対する疑問から生まれた名前なんですよね。

尾崎:そうですね、“世界観”って何なんだろうなぁって。よくわからないからとりあえず曖昧な言葉で濁されているように感じていました。もっとしっかりした言葉で曲や歌詞の感想を聞きたかったんですよね。それは今でも同じです。当然みんな気を使って「世界観がいいね!」とは言ってこなくなりましたけど(笑)。でも、雑誌に「クリープハイプの世界観は〜」とか書かれていても当時よりは違和感なく読めるようになりました。

クリープハイプはやはり歌詞が大きな魅力ですが、昔から言葉に対する思いも強かったのですか?

尾崎:強かったですね。学生のときも、他の教科は全く出来なかったけど、国語だけは得意でした。まず文を読むのがすごく好きで、授業は聞いていなくてもいろんな教科書の文章を読んでいましたね。駅に置いてあるフリーペーパーを取ってきて読んだりもしますし。文字を読んでいると落ち着くんですよね。ウトウトしているときに周りで人が話しているのも子守唄のようで心が安らぐんですけど、それに近い感覚です。あと、昔から自分が喋る言葉に対してもこだわりはありましたね。今でもインタビューを受けたら、書き起こしてもらったものを読んで、自分が絶対に言わないだろうなと思う言葉や言い回しは気になるので直しています。

音楽面では、どんな曲に影響を受けてきましたか?

尾崎:もともとはフォークですね。子どもの頃から家で“かぐや姫”というグループの曲が当たり前に流れていたので、音楽ってこういうものなんだろうなぁとなんとなく思っていました。それから自分でもCDを買ったりして、改めて聴いてみたときにすごくいいなぁと思いました。自分の個人的な気持ちを語りかけるように表現するというところでも影響を受けていますね。バンドを組んだのは高校のときなんですけど、その頃はラジオから流れてくるバンドの曲とかを色々聴いていました。当時イチオシのアーティストや、一瞬で解散してしまったようなバンドの曲も今でもしっかり覚えているし、自分にとって大きかったと思います。

クリープハイプは2001年に結成され、2012年にメジャーデビューを果たしましたが、それによる心境の変化も大きかったのではないでしょうか。

尾崎:いつまでもバイトを続けたくはなかったので、音楽だけをやれるということが一番嬉しかったですね。ただ、バイトをしながら嫌だなぁとか、腹立つなぁとか、不自由なことがたくさんある中で「だけど自分には音楽があるから大丈夫だ」って、常に良いものとして音楽はあったんですよ。その悔しさとかマイナスな気持ちを全部曲にぶつけてプラスに変えていくという流れもありましたし。でも、バイトを辞めて音楽だけやれる幸せな状況になったとき、自分にとって音楽の中に良いものも悪いものも、どちらも出来てしまってそこで悩んでいるところはずっとありますね。それでも、デビュー前に望んだ環境に今いるんだから、もっともっと頑張って良い曲を作っていきたいです。

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2013年に資生堂のCMソングとして起用された「憂、燦々」によって、尾崎さんの声は一気にお茶の間へ広がり、強烈な印象を残したと思います。ご自身の声についてはどう思いますか?

尾崎:うーん…、この声しか出せないんですけど、どうしてもいろんなことを言われるんですよ、今でも。「声が受け付けない」とか言われるとやっぱりすごく落ち込みますし…。別に自分の声が好きなわけでもないんですけど、でもこれしかないんだから仕方ないって思ってます。

歌ネットでは「憂、燦々」に続いて「ラブホテル」「社会の窓」といった楽曲が人気でして、個人的には「NE-TAXI」もかなり好きなのですが、どの曲も女性目線の感情が描かれています。どうして尾崎さんはこんなに女性の本音がわかるのでしょうか。

尾崎:“まったくわからない”からだと思いますね。男の気持ちはなんとなくわかってしまうので男目線の歌詞を書くときには「この感情って歌詞にするほどのことかな」と、ちょっと遠慮したりするんです。でも、女の人の気持ちはまったく理解できないし、もう全てが男とは違うと思っているからこそ、好き勝手に何も遠慮せずに書けるというか。そうやって妄想を爆発させて書いたものを、よくファンの方からも「なんで私の気持ちがわかるんですか?」って言ってもらえるんですけど、たまたまなんです。だから…そんなものなんだろうなぁって思います。わからないまま書いたものが「わかってくれてる!」って言われたり、なんでもない単純なところで「どうしてわからないんだろう」って悩んだりしてるんですよね、みんな。それが面白いなぁと思います。女の人だけじゃなく、人と人の距離感とか、そういうものは歌詞にするときの一番大きなテーマですね。

では、普段から人間観察などもよくされていますか?

尾崎:はい、見てしまいますね。逆に自分も見られているんだろうなとも思いますし。ちょっと変わっているところってみんな絶対あるじゃないですか。でも音楽をやっているとそういう全てが作品に変えられるから恵まれているなぁと思います。だから“負の感情”や情けないところも隠さずに出していきたいですね。そういうのって隠していてもバレると思うので、だったら自分から言ってしまった方が気持ちいいんです。よく歌詞が自虐的だと言われたりするんですけど、それはもう自分の中では当たり前のことですね。

歌詞には、感情の中でもとくに何を込めることが多いですか?

尾崎:一番は怒りですね。あとは恥ずかしさとか悔しさとか。だから幸せなとき、嬉しいときには曲を書きたいと思わないんです。やっぱりみんな悲しいときには自分と同じような人を探したくなるし、もっとツラい目に遭っているような人の話を聴きたくなってしまったりもするだろうから。自分自身がそういう人間なので、曲に込める感情も自然とそうなっていくんだと思います。

「感情の運動量はすごく多い。」

今回の新曲「リバーシブルー」ですと、どの感情が強いですか?

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尾崎:これはどの感情か確定する前の、いろんな感情が点滅して止まるまでを待っているような時間を歌っていますね。どこにも行けなくてモヤモヤしてるというか。「会いたい」のか「会いたくない」のか、何なんだろうって。

「リバーシブルー」というタイトルはどのようにつけたのですか?

尾崎:最初にクリープハイプの「オレンジ」という楽曲のイメージで作ってもらえないかと言う話をいただいたんです。だからまず“オレンジ”というワードがあって、今回は色で言うと青っぽいなというところからまず“ブルー”が思い浮かびました。歌詞は本音と真逆な気持ちを歌っているというところから“リバーシブル”だなぁと思い、その二つの言葉をかけて「リバーシブルー」というタイトルを付けましたね。

この曲は明星「一平ちゃん」のCMソングとしても話題になりましたが、CMのタイアップ曲を作るときにはどんなことを意識されますか?

尾崎:曲が流れる時間が短いですし、自分の声が良くも悪くも引っかかるというのもわかっているので、できるだけわかりやすい言葉で引っかけるということは意識していますね。誰もが知っていて、スッと意味が入ってくる言葉だけど、少し違和感があるような。「リバーシブルー」なら“会いたくない”っていう逆の捻くれた気持ちを繰り返すことによって「あ、これは会いたいっていう意味なんだな」と思わせたくて。

「リバーシブルー」も含め、尾崎さんは伝えたいことや素直な感情を正面からではなく、あえて裏側に回って見つめるような歌詞を書かれるイメージがあるのですが、ご自身も“裏側が見えすぎてしまう”ために生きづらいなぁと感じることはありませんか?

尾崎:いやー、本当にめんどくさいですよね。気にしすぎって言われますし、もうクセですね。考えすぎて一人で勝手にその周りをグルグル回ってしまう感覚は子どもの頃からありました。でもそうじゃないと曲を作ってないだろうし、裏側を考えたり見たりすると、嫌なことも傷つくこともいっぱいあるけど、その分気持ちが動いているってことだから。その気持ちが動いていく途中でプラスになるものを見つけることも多いです。自分は運動も嫌いだし、外にもあんまり出ないんですけど、感情だけは動かしていますね(笑)。そこの運動量の多さはこれからも変わらないと思います。

音楽をやっていなかったらかなりしんどかったかもしれませんねぇ…。

尾崎:ずっとふさぎ込んでいると思います(笑)。でも歌詞はマイナスな感情を歌っているのに、ライブではその曲でお客さんがすごく楽しそうにしてくれたりするのを見ると、自分の中にある捨ててしまいたいような気持ちもその瞬間に良いものに変えてもらえるような気がします。聴いてくれている人たちには助けられているなぁと思いますね。

また、「リバーシブルー」には、“言わなくてもわかるなんて嘘で その場凌ぎで固結び 言わなくてもいい事を言って また靴擦れ”というフレーズがありますが、尾崎さんは恋愛において自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけるタイプですか?

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尾崎:言うのかなぁ…。自分では真っ直ぐ言っているつもりでも、相手には捻くれた言葉として聞こえている気がします。でもすぐ伝わったらそれはそれで「本当にわかってるの?」って思ってしまうし、伝わらなかったら「なんでわからないの?」ってなるし難しいですよね。結局文句を言いたくなるんですよ。自分に想いがあればあるほど相手に対する期待も増えてきて、ちょっとうまくいかなかったりズレたりすると、それくらい落ち込むし腹も立つし。そうやってまた感情を消耗していきますね(笑)。

思いが強くなればなるほどすれ違ってしまうのは何故なのでしょうか。

尾崎:ホント何でなんだろう。だって自分がお腹から出てきた母親のことでさえ、何を考えているかわからないようなところもあるわけじゃないですか。でも自分以外の人っていう存在は絶対に必要だし、全てが自分とは違うからこそ、少しでも同じ感覚を探して、言葉を使って伝えるんですよね。僕にとっては歌詞がそうなんですけど、なんとかわかってほしいとか、どうやったら伝わるんだろうとか一生懸命考えている時間は楽しいですね。それが伝わったらもっと嬉しいし。だから曲を作って歌詞を書くってことがやめられないんだと思います。

「“歌詞”を演奏していると思うんですよね」

2曲目の「カップリング」には“こんな気持ちはもう全部 誰も聴いてないアルバムにも入らない カップリングにして捨ててしまおう”という強烈なフレーズもありますが、「リバーシブルー」的に考えるとこれもまた本音は真逆ということでしょうか。

尾崎:そうなんですよね、カップリングってすごく大事だと思っています。自分の好きなアーティストのシングルでも、カップリングに本質が詰まっている気がして大切に聴いていたので、そうやって聴いてほしいなぁという気持ちがあります。でも一方で今は、配信で1曲だけを買ったり、YouTubeでしか聴いてもらえなかったり、カップリングが聴いてもらえない可能性って高いじゃないですか。その現状に対する皮肉もあるし、そうだったときに期待した自分が恥ずかしいから先に「捨ててしまおう」と言っておく自虐的なクセも出ていると思います。でも、基本的にはカップリングっていうものは好きだし、それがないと活動していけないくらい色んな気持ちを出せる大切なものだという思いも込めてこういう歌詞になりました。

普段、曲はどのように作っているのですか?

尾崎:まず曲が出来てから歌詞を書きますね。歌詞はかなり細かく考えますし、曲よりも時間をかけています。メロディーやリズムがないと書けないんですけど、でも曲がない状態で読んでも良いと思えるような歌詞にしたいんですよね。だから目で文字を追ったときの文字が流れていく感覚も大切にします。うまく言葉で説明できないけど、自分の中の良い・悪いっていう感覚があるんです。人が使わない言い回しで表現したいし、自分だけのものを見せたいっていう気持ちでいつも作っていますね。

以前、尾崎さんはSMAPの「ハロー」という楽曲も手掛けられていますが、クリープハイプの歌詞とはまたガラっと変わった優しくあたたかい歌詞に驚かされました。やはり提供楽曲のときは自分のバンドの曲を作るときとは感覚が違いますか?

尾崎:そのときはかなり自由に作れましたね。自分の中でずっと「こういう曲も作れるんだ」という思いがあったのでそれができて良かったし、自分の言葉に変換せず素直に思いつくまま書ける瞬間があったのが嬉しかったですね。やっぱりクリープハイプの曲だと、このバンドはそういうのはやらないんだというイメージがあるので、わざと言葉を汚くしたり、雑にしたり、身の丈にあったようなことを歌うようにしているんです。でも「ハロー」のような気持ちも自分の中にちゃんとあるし、誰かに曲を提供できるっていうのはすごく好きですね。

歌詞を書く上で一番大切にしていることはなんですか?

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尾崎:やっぱり自分が一番のお客さんなので、自分が読みたい歌詞、自分が感動できる歌詞を作るように心がけています。昔から「どうしてもっとこういう気持ちを歌った曲がないんだろう」とか「こういう曲があったらいいのになぁ」という思いがあったので、そこに届く理想の言葉を探しています。誰かのためにとか考えてたら絶対届かないと思うんです。まずは自分が満足して、これが最高だと思える歌詞じゃないと歌えないですね。

言葉の影響はどんなところから受けますか?

尾崎:日常生活のすべてからですね。電車に乗っていても聞こえてくるものは色々あるし、誰かとしゃべったり、飲みに行ったりしたときの相手の何気ない一言を次の日にふと思い出したりもします。無言であるときでさえも「なんでこの人しゃべらないんだろう」とか「なんで自分とこの人には沈黙があるんだろう」とか考えたりするんですよ。自分以外の人、他人から影響を受けることが多いと思います。

最近、歌詞が良いなぁと思うアーティストはいらっしゃいますか?

尾崎:“見田村千晴”さんは好きですね。久しぶりに歌詞がいいなぁと思える方に出会えました。なんかそう思えたことが嬉しかったです。ずっと自分の歌詞に対する感覚がおかしいんだろうなと思っていたから。

これからの夢や目標を教えてください。

尾崎:もちろん曲もしっかり作っていきたいですけど、やっぱり歌詞が良いって言われたいですね。他のメンバーは“曲”を演奏していますけど、僕は歌っているので“歌詞”を演奏していると思うんですよね。だからちゃんと届けたい…いや、届けたいとは思ってないな。もっと凶悪な気持ちです(笑)。傷つけたいというか、歌詞で刺したいと思っています。

それでは、最後に「歌ネット」を見ている方にメッセージをお願いします。

尾崎:いっぱいクリープハイプの歌詞をクリックしてください(笑)。よろしくお願いします。