最近、あの往年の名曲たちを耳にする機会が多くはありませんか? ときには、原曲と異なるアーティストの歌声で。ときには、原曲と同じアーティストだけれど異なるアレンジで。音楽シーンでは、2005年に発売された“徳永英明”『VOCALIST』の大ヒットをきっかけに、これまで何度もカバーブームを繰り返してきましたよね。とくに2010年は過去最大の“カバーアルバムブーム”とも言われていました。そしてどうやら2016年から2017年にかけて再び、大きなブームの波が訪れているようなんです…!しかもカバーの形は多種多様。今回の特集ではそんな様々な“カバーソング”に注目してみました!
井上苑子
カバー曲:槇原敬之「どんなときも。」
山崎賢人&飯豊まりえが出演!
『Galaxy S7 edge』の胸キュンドラマCMソング!
カバー曲:ケツメイシ「さくら」
中川大志&平祐奈のダブル主演
映画『ReLIFE リライフ』(4月15日公開)エンディング曲!
藤原さくら
カバー曲:スピッツ「春の歌」
神木隆之介が主演。羽海野チカの人気コミック実写化!
映画『3月のライオン』の“後編”主題歌!
林部智史
カバー曲:カーペンターズ「雨の日と月曜日は」
(原題「RAINY DAYS AND MONDAYS」)
三浦友和、黒木瞳、前田敦子、工藤阿須加らが出演!
木曜ドラマ『就活家族 ~きっと、うまくいく~』挿入歌!
「誰がカバーしてるんだろう!?」
 テレビやラジオで歌声を耳にしたリスナーから「誰がカバーしてるんだろう!?」との反響が大きかった3組です。このアーティストたちに共通しているのは、3人とも一度耳にしただけで忘れられないような“唯一無二の歌声”を持っているという点です。<胸キュン>と言えば井上苑子、<天性のハスキーヴォイス>を持つ藤原さくら、<泣き歌の貴公子>と称される林部智史…。カバーすることのデメリットとして「オリジナルの方がよかった」という否定的な意見も出やすいことが挙げられますが、カバーする側の“個性”がしっかりしていれば、原曲の良さを活かしながら、かつ新しい味を出すことができるのでしょう。だからこそ上記の3人の歌声で聴く名曲には、改めて心を惹かれます。

 また、みんなが知っている曲を歌うということは、その新星アーティストの“歌声”にまず出逢ってもらうための広い入口となります。上でご紹介した3アーティストの曲は、CMや映画、ドラマのタイアップがついていますが、今はYouTubeや動画アプリ、SNSの普及によりどんどん作品を拡散するための場所が多くなっていますよね。だからこそ、ノンタイアップでも十分にブレイクの可能性があるんです。たとえば、俳優の“小日向文世”さんがいろんな番組で推し続けている次のアーティスト「Uru」をご紹介いたします。
 2013年よりYouTubeチャンネルを立ち上げ、J-POPを中心に様々なジャンルの楽曲をカバーする事をスタート(back number「ヒロイン」、サザンオールスターズ「真夏の果実」、レミオロメン「粉雪」などなど)。素顔をほとんど見せないモノトーンに統一された映像と、透き通る歌声が徐々に注目を集め、
2016年、ついにメジャーデビュー。100本に及ぶカバー動画をアップし、総再生回数は4400万回以上、チャンネル登録者は14万人越えとなり、デビュー前にも関わらず幅広い世代から支持を得る存在となった。
 小日向さんは、もともと自分が好きだったアーティストの曲をYouTubeで検索しているうちに、それをカバーしているこの“歌声”に出逢い、ひと耳惚れしたんだとか。尚、Uruのカバーではとくに【女性が歌う男性アーティストの歌】シリーズが人気です。さらに上でご紹介した井上苑子、藤原さくら、林部智史、いずれのカバーも原曲を歌っているアーティストとは“性別”が異なっていますよね。男性アーティストの歌を女性が、女性アーティストの歌を男性が歌っているんです。それによってオリジナル曲のイメージにあった“僕”や“私”と目線が変わり、違う景色が見えてくる、という効果もありそうですね!
ウルフルズ
デビュー25周年イヤー!
トータス松本のアイディアからスタートした企画アルバム!
“あえて女性の声だけで”ウルフルズの名曲をカバー!
『ウルフルズトリビュート~Best of Girl Friends~』
2017年2月22日発売
WPCL-12462 ¥3,000+税
ASIAN KUNG-FU GENERATION
バンド結成20周年イヤー!
“アジカンに影響を受けた若い世代”を中心に
勢いのあるアーティストたちが、それぞれに思い入れのある楽曲をカバー!
『トリビュート・アルバム『AKG TRIBUTE』
2017年3月29日発売
KSCL-2896 ¥2,913+税
DREAMS COME TRUE
史上初!全曲ドリカムの泣ける名曲のみで構成
“Ms.OOJA”によるリスペクト・カバーアルバム!
トリビュート『私とドリカム』『私とドリカム2』シリーズも人気!
『Ms.OOJAの、いちばん泣けるドリカム』
2017年5月3日発売
UMCK-1565 ¥3,000+税

【収録予定楽曲】
「未来予想図」(1991)
「未来予想図Ⅱ」(1989)
「三日月」(1999)
「LOVE LOVE LOVE」(1995)
「ねぇ」(2010)
「さぁ鐘を鳴らせ」(2013)
「何度でも」(2005)
「7月7日、晴れ」(1996)
「悲しいKiss」(1989)
「AGAIN」(2014)
「あの夏の花火 ― SENKOU-HANABI VERSION ―」(2015)
「The signs of LOVE」(1995)
「あなたのように」(2016)

 1アーティストが多数のアーティストの名曲をカバーするアルバムはこれまでも多くの支持を集めてきました(JUJU『Request』シリーズや平井堅『Ken's Bar』シリーズなど)。しかし最近、増えているのは“トリビュートアルバム”です。<トリビュート>とは<感謝・賞賛・尊敬>などの意味を持つ言葉。音楽シーンに長年の歴史を刻んできたベテランアーティストのアニバーサリーイヤーなどに、様々なアーティストたちがリスペクトの意を込めて名曲をカバーし、企画アルバムとしてリリースされることが多いのです。

この“トリビュートアルバム”の醍醐味は、上記でご紹介した例でいうとまず、ウルフルズの名曲をいろんな女性の歌声で楽しめたり、アジカンの名曲を若い世代たちの音で聴けたり、1つのアルバムで出会える“歌声”が非常に多いこと。また、『Ms.OOJAの、いちばん泣けるドリカム』のように1アーティストが1アーティストだけの楽曲をとことんカバーするという形も非常に新しいですよね!いずれの作品も、カバーした側、カバーされた側、どちらもお互いのファンに知ってもらえる機会となり、双方に大メリットです。是非、新しい形のウルフルズ、アジカン、ドリカムを堪能してみてください。
スキマスイッチ
「奏(かなで)」が映画『一週間フレンズ。』主題歌に!
敬愛するアーティストをプロデューサーに迎えコラボ制作!
スキマスイッチ楽曲のリアレンジ・リプロデュースアルバム!
ニューアルバム『re:Action』
2017年2月15日発売
通常盤 AUCL-218 ¥3,000+税
初回生産限定盤 AUCL-30040 ¥3,611+税

01.「全力少年」/プロデュース:奥田民生
02.「僕と傘と日曜日」/プロデュース:田島貴男(ORIGINAL LOVE)
03.「フィクション」/プロデュース:フラワーカンパニーズ
04.「ユリーカ」/プロデュース:GRAPEVINE
05.「マリンスノウ」/プロデュース:TRICERATOPS
06.「Ah Yeah!!」/プロデュース:澤野弘之
07.「奏(かなで)」/プロデュース:スキマスイッチ
08.「晴ときどき曇」/プロデュース:BENNY SINGS
09.「君のとなり」/プロデュース:小田和正
10.「ふれて未来を」/プロデュース:真心ブラザーズ
11.「ゴールデンタイムラバー」/プロデュース:RHYMESTER
12.「冬の口笛」/プロデュース:SPECIAL OTHERS
13.「回奏パズル」/プロデュース:KAN

藤巻亮太
「3月9日」がカロリーメイト新CMに起用!
レミオロメンの楽曲をソロ名義でセルフカバー
新たなブラスアレンジで配信リリース!
配信シングル『3月9日』
2017年3月1日発売
“セルフカバー”とは
 主に、かつて他のアーティストに提供した楽曲を、提供した側がカバーすることを意味しています。記憶に新しいところでは昨年、椎名林檎が“SMAP×SMAP”のコラボライブで披露した「青春の瞬き」(栗山千明への提供曲)や、鬼束ちひろが約6年ぶりに今年リリースしたアルバムに収録されている「夏の罪」(花岡なつみへの提供曲)など。それに加えて、スキマスイッチや藤巻亮太のように、過去に自分たちが発表した曲をリアレンジで再録し、リリースするというセルフカバーもございます。

 後者パターンのセルフカバーの場合、アーティストの“今の歌声”や“今の音楽の形”で過去の名曲を聴くことができるのが嬉しいですよね。原曲は原曲で楽しみつつ、最新型にアップデートされた新たな味も楽しむことができるのです。さらに、そのアーティストを新しい世代・リスナーに知ってもらえるきっかけにもなります。尚、スキマスイッチ「奏(かなで)」は映画『一週間フレンズ。』の公開(2017年2月18日)後から歌詞アクセスが上昇し、ウィークリーランキングのTOP10内にランクイン!改めて楽曲パワーを感じますね!
AI / 「みんながみんな英雄」
2016年始のau“三太郎シリーズ”CMソング!
メロディーは「オクラホマミキサー」をアレンジ!
独自の日本語詞でロングヒット&ミリオンリリック認定!
特別じゃない 英雄じゃない
みんなの上には空がある
雨の日もある 風の日もある
たまに晴れたらまるもうけ
WANIMA / 「やってみよう」
2017年始のau“三太郎シリーズ”CMソング!
童謡「ピクニック」をロックにアレンジ!
様々なチャレンジのシーンにぴったりな新・日本語詞!
正しいより 楽しい
正しいより 面白い
やりたかったこと やってみよう
失敗も思い出
 この2曲は、桃ちゃん(松田翔太)・浦ちゃん(桐谷健太)・金ちゃん(濱田岳)らでおなじみのau“三太郎シリーズ”のCMソング!AI「みんながみんな英雄」は、日本でよく知られているフォークダンスの定番曲「オクラホマミキサー」、WANIMA「やってみよう」は“丘を越え 行こうよ 口笛 吹きつつ~♪”で有名な童謡「ピクニック」のメロディーが元になっております。そこに『au 三太郎シリーズ』CMプランナーの“篠原誠”さんが新たな日本語詞をつけたと斬新なカバー!誰しも聞き覚えのある懐かしのメロディーだからこそ、テレビから流れてきたとき思わず耳を傾けますし、歌詞としては真新しいものにも関わらず、スッと覚えられますよね!カバーの秘めた可能性をさらに広げた2曲であると言えるでしょう。
 歌ネットでも大人気の“GReeeeN”が今年1月24日にデビュー10周年を迎えました。彼らは歯科医を両立しているため、顔や姿を一切出さないアーティストとして知られていますよね。そんなGReeeeNのアニバーサリーイヤーに公開されたのが、彼らの結成やデビューを描いた映画『キセキ ーあの日のソビトー』です。そして劇中で“GReeeeN”の役を務めたのが菅田将暉(ヒデ役)、横浜流星(ナビ役)、成田凌(クニ役)、杉野遥亮(ソウ役)の4人。映画の中では、デビュー前の作品「声」、デビュー作「道」、そして名曲「キセキ」などを“GReeeeN”役としてカバーしました。

さらに、菅田将暉率いる4人は劇中に登場するグループ「グリーンボーイズ」という名前で、GReeeeNのデビュー日と同じ日である、2017年1月24日にCDデビューを果たしたのです。彼らはカバー曲をMステなどで披露。その歌声は大反響を呼び、GReeeeNの名曲に新たな息吹を吹き込んだ”グリーンボーイズの歌”が広まってゆきました。その結果、歌ネットでは、GReeeeN名義の楽曲も、グリーンボーイズ名義の楽曲も、共に歌詞ランキングの上位にランクイン。楽曲の強さと、アーティストパワーによる最強の化学反応ですね…!まさにスペシャルな1年に相応しいスペシャルな“アーティスト丸ごとカバー”企画となりました。
グリーンボーイズ
このようにカバーソングは、まだまだ“新境地”を見せてくれる模様。
さらに今後このブームがどのように展開されてゆくのか…、
想像を超える“カバー”が楽しみですね!