2014年のヒット曲から読み取るヒットの裏側!


王道戦略!テレビ編 吉田山田「日々」

吉田山田「日々」ジャケット

ネットが主流になりつつある現代にあっても、いまだ根強い人気を誇り、高い宣伝効果をあげているのが、ドラマ主題歌・CMソングなどのテレビタイアップである。ここでは、NHK「みんなのうた」から火がつき、今年ブレイクを果たした“吉田山田”の「日々」を取り上げてみる。
NHK「みんなのうた」は、1961年からNHKのテレビ・ラジオで放送されている5分間の音楽番組。期間ごとに選ばれた楽曲をオリジナルのアニメーション映像と共に、朝・昼・夕と幅広い時間帯で放送している人気番組である。「日々」は、2013年12月〜2014年1月枠で放送されると視聴者から多くの反響を呼び、2014年2月に再放送が決定、さらに、4月にも再再放送が決定した。その反響の大きさを受け、吉田山田は「ミュージックステーション」に初出演を果たすと、一気にブレイク。8月にはNHKみんなのうた「日々」のアニメーションDVDなどを付けた新装盤として「日々」を再発売。そして9月、「みんなのうた」で異例の再再再放送され、長期にわたるヒットを記録することとなった。

 
動画を見る 歌詞を見る  

右の表は、歌ネットにおける「日々」のアクセス推移である。「日々」の歌詞はCDの発売に先駆け、12月5日より公開スタート。公開とともに「みんなのうた」の反響もあり、安定したアクセスを記録しているが、「みんなのうた」を観ている世代が日常的にネットを使う世代でないことから、実際の反響が直接歌詞のアクセス数に反映させていたわけではない。その後、7月の「ミュージックステーション」出演を機に、アクセス数を大きく伸ばしているが、これは音楽の流行に敏感でネットを積極的に活用している10代・20代が「日々」を耳にしたことにより、その反応が反映された結果である。これにより、老若男女に「日々」が浸透し、歌ネットでもプラチナリリック(25万アクセス)に届くほどのアクセスを記録している。

時代の流行(=若い世代)と普遍性(=その他の世代)。この二つの要素を上手く混ぜ合わせ、いかに幅広い世代に音楽を届けるか。そのためには、時に忍耐強く音楽を届け続けることが必要となる。その努力を惜しまなかったからこそ、「日々」のヒットはあり、今年の紅白への出場を期待させるロングヒットとなったのである。

グラフ
話題の「日々」収録!シングルコレクション!
「吉田山田シングルズ」

発売日:2014年12月17日
PCCA-04136
¥2,315+税



役者の特権!劇中役編 大原櫻子

大原櫻子CDジャケット

昨年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のヒットは記憶に新しい。そのドラマに出演した小泉今日子が劇中役の天野春子名義で発売した「潮騒のメモリー」は、ドラマのサントラと共に大ヒットを記録した。さかのぼると、2000年には菅野美穂がドラマ「愛をください」のヒロイン・蓮井朱夏名義で発売した「ZOO 〜愛をください〜」も、50万枚を超えるヒットを記録したが、ドラマや映画に出演した役者が、劇中役のまま現実世界に飛び出す戦略もポピュラーなヒット戦略のひとつである。その戦略でブレイクしたアーティストが、大原櫻子である。
映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」のヒロイン・小枝理子役のオーディション5,000名の中から抜擢され、一躍脚光を浴びた彼女は、劇中バンド「MUSH&Co.」のボーカリストとしてCDデビューすると、一躍ティーンの憧れの存在へとのしあがった。劇中歌「明日も」は、歌ネットでミリオンリリック(100万アクセス)を記録し、エンディングで使用された小枝理子&小笠原秋「ちっぽけな愛のうた」も50万アクセスを記録するなど、いまだにロングヒットしている。

その後、“大原櫻子(from MUSH&Co.)”としてCDをリリースし、ついに11月にはソロデビューを果たす彼女。キュートなビジュアルと圧倒的な歌唱力があることがここまでのしあがった要因であるが、ソロデビューの段階で、これほどまでに知名度と話題性のある新人は稀であり、これが役者の特権なのである。現在、「水球ヤンキース」で連ドラ初レギュラー出演を果たし、地上波音楽番組MCにも抜擢されるなど、着実にステップアップしている彼女。今後の飛躍が期待される。

 
動画を見る 歌詞を見る
 
 
   1stソロシングル!「サンキュー。」 発売日:2014年11月26日
  大原櫻子CDジャケット  
  初回限定盤(CD+DVD)
VIZL-718 ¥1,500+税
通常盤(CD)
VICL-36954 ¥1,000+税
3939限定盤(CD)
※3939枚生産限定
VICL-36998 ¥390(税込)

 


現代の主流!SNS編 MACO

MACOジャケット
動画を見る 歌詞を見る

2000年以前、圧倒的な影響力を誇っていたテレビも、近年の視聴率低下に象徴するように影響力を失いつつある。代わりにインターネットの世界的な普及、スマートフォンのヒットにより、“SNS”という新たな時代が到来した。未だに歌ネットで圧倒的な人気を誇る西野カナは、“ケータイ世代のカリスマ”と呼ばれ、一時代を代表する歌姫になったが、今、新たに、動画やSNSを通じて楽曲を発表し、それをきっかけにブレイクを果たすアーティストが現れた。その代表が“SNS世代の歌姫”として注目を集める現在23歳、北海道・函館市出身のシンガーソングライター“MACO”である。

sns
 

MACOの名前が知れ渡ったのは、自身の歌唱をYouTubeにアップした動画である。それは、フジテレビ系リアリティ番組「テラスハウス」のテーマ曲として、すでに多くの人に親しまれていたテイラー・スウィフトの大ヒット曲「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない〜We Are Never Ever Getting Back Together」を、独自の解釈で日本語歌詞にし、バラードカバーした動画。そのずば抜けた歌唱力と同世代が共感する歌詞、キュートなルックスが話題を呼び、MACOの名前は瞬く間にSNS上で拡散され、公式YouTubeチャンネルは総再生回数が1,000万回を突破することとなった。歌ネットでは、「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない〜We Are Never Ever Getting Back Together (Japanese Ver.)」が50万アクセスを記録し、今年下半期の注目アーティストとして認定したのである。

以前、back numberを取り上げた特集の中でも述べたが、いまや一般ユーザーこそ最大の宣伝ツールとなった。それは、ネットやスマホであれば、クリックひとつで情報を受け取れ、発信できる環境になったからである。多くの情報が溢れ、ユーザーも色んな音楽に触れている時代である。口コミという言葉がある通り、本物でなければすぐ叩かれ、汚名を残すことになる。逆にユーザーが本当に良いと思えば、SNSを使って世界中に発信し、ヒットを生み出せる時代でもある。容易に手が出せるSNSを利用した戦略も、やはり良質な音楽であることは大前提なのである。

 
 
MOCO CDジャケット

メジャー1stアルバムのデラックス・エディション!
「23 plus」

発売日:2014年11月26日
UICV-1041 期間限定Special Price ¥2,315+税