歌ネットで上半期最も歌詞が見られた楽曲は、きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」(508,232回)。邦楽アーティスト史上最多となる73ヶ国で配信され、YOUTUBEでは2か月で1,000万回再生を記録。海外からのアクセスも多くみられ、海外での関心度の高さもうかがえる。中田ヤスタカ(capsule)による“つけまつげ”に焦点を当てた斬新な歌詞とキャッチーなメロディーで圧倒的なアクセス数を稼ぎ出した。
昨年、彗星のように現れたきゃりーぱみゅぱみゅは、奇抜なファッションとキュートなルックス、時に強烈な変顔をすることで話題を呼び、TVCMやドラマに本人役で出演するなど、今、最も勢いのあるアーティストの一人で、女子高生から20代の若い女性に絶大な支持を集めている。7月にフランスで開催される「ジャパンエキスポ」に出演し、それにあわせて海外でCDをリリースする予定なのだが、海外でも関心度が高いことから、敢えて海外盤は作らずに、ジャケットも歌詞も日本語のままでリリースするのだという。
インターネットが普及した昨今では、海外で日本のカルチャーがブームを呼んでおり、中でも特撮、アニメ、アイドルといった、いわゆるサブカルチャーが強い支持を集めるようになった。「サブカルチャーの象徴」として人気を集めているのがきゃりーぱみゅぱみゅで、今回、日本語のままでリリースする姿勢は、自分を日本のカルチャーとしてちゃんと認識している証だろう。

歌ネット上半期楽曲別ランキング (2012年発売楽曲のみ・歴代ランキング詳細)
順位 レコ
チョク
曲名 歌手名 発売日
1 20 つけまつける きゃりーぱみゅぱみゅ 2012.1.11
2 5 私たち 西野カナ 2012.5.23
3 4 SAKURA, I love you? 西野カナ 2012.3.7
4 2 ミセナイナミダハ、きっといつか GReeeeN 2012.2.29
5   ワイルド アット ハート 2012.3.7
6 12 君に逢いたかった ナオト・インティライミ 2012.2.8
7 44 告白 平井堅 2012.5.30
8 18 世界で一番ステキな君へ。 ソナーポケット 2012.1.25
9 30 いつだって僕らは いきものがかり 2012.1.18
10 ランク外 ハルウタ いきものがかり 2012.4.25
11 33 月火水木金土日。〜君に贈る歌〜 ソナーポケット 2012.4.25
12 49 愛、テキサス 山下智久 2012.2.29
13 32 サブリナ 家入レオ 2012.2.15
14 28 Shine 家入レオ 2012.5.16
15 1 Be… Ms.OOJA 2012.2.29
16 16 はじまりのとき 絢香 2012.2.1
17 84 片想い miwa 2012.2.1
18 43 愛してた ナオト・インティライミ 2012.3.28
19 25 オレンジ GReeeeN 2012.4.25
20 ランク外 7th Trigger UVERworld 2012.3.28
21   Face Down 2012.5.9
22 27 イエス Acid Black Cherry 2012.1.18


ここで歌ネット曲別ランキングを見てみると、2つの特徴が見てとれる。一つは、ランキングの半分以上がソロアーティストという点。もう一つは、シンガーソングライターをはじめ、ランクインしているアーティストのほとんどが、自分で歌詞を書いている点である。配信の女王「西野カナ」をはじめ、昨年、ブレイクしたソナーポケットやナオト・インティライミ、そして、歌詞に定評のあるいきものがかりなど、いずれも、自分で歌詞を書いているアーティスト達である。
AKB関連のアイドルユニット、ジャニーズアーティストが上位独占しているオリコンCDランキングとは、対照的な結果となったのだが、CD売り上げがタレントとしての要素が強いとしたら、歌ネットで支持されているのは、“アーティスト”としての人気と「楽曲の力」であることが分かる。そういう意味では、オリコンCDランキングと両方に唯一ランクインしている嵐は、そのどちらにも属さない特別な存在だと言えるのかもしれない。
また、レコチョクランキングもMs.OOJAの「Be…」が1位になるなど、歌ネットユーザーには興味深いランキングとなっており、CDと配信の違いが近年益々大きくなっている。

日本が誇るモンスターバンド、Mr.Childrenが、歌ネット上半期アーティスト別ランキングを1位に輝いた。もともとランキングでは常に上位にいる彼らだが、(2001年〜2004年の年間ランキング1位、歌ネット歴代人気曲56曲)2001年にリリースしたベストアルバムから約11年ぶりとなるベストアルバム「micro」「macro」を5月にリリースし、「micro」は2001年から2005年までの楽曲を、「macro」は2005年から2010年までの楽曲を集めたベストアルバムとなっている。歌ネットのユーザーは世代別でみると10代が一番多く、ベストアルバムのリリースと同時に検索数を大きく伸ばした「youthful days」(2001年発売)や「Sign」(2004年発売)など、10代の世代がオリジナルリリース当時は、まだ小学生の低学年未満だったことを考えると、今回のベストアルバムを通して初めて聴いたユーザーも少なくないと想像できる。デビュー20周年を迎えたミスチルだが、どれだけ時代が流れても、若者の心を掴んで離さないことは間違いないだろう。




 
2012年にデビューしたアーティストで、唯一曲別ランキングに名を連ねたのが、女性シンガーソングライター、家入レオ。現役高校生の彼女は、デビューシングル「サブリナ」が人気アニメ「トリコ」のエンディング・テーマに大抜擢され、続く2ndシングルでは、ドラマ「カエルの王女さま」主題歌に起用。歌ネットでも、2作連続で10万アクセスを突破するなど、大ブレイクを果たした。  

彼女の魅力について、音楽チャートアナリストのつのはず誠氏は「洋楽ファンも口ずさみたくなるちょっと懐かしめのメロディーと、夢追いの歌詞をリアルに伝える眼力(メヂカラ)の強さ、歌声は等身大のティーンらしい繊細さという、安定と不安定の絶妙なバランスこそが最大の魅力だろう」と語っているが、YUIや絢香を輩出した「音楽塾ヴォイス」出身というバックボーンを持つ彼女の快進撃に今後も大いに期待したい。

「Shine」2012/5/16発売  

 
TBS系金曜ドラマ「恋愛ニート 〜忘れた恋のはじめ方〜」主題歌「Be…」が大手配信サイト「レコチョク」が発表した「レコチョク上半期ランキング2012」において、見事4冠を獲得。アイドルユニットブームの中、ブレイクを果たしたのが、歌姫Ms.OOJA。いわゆる実力派シンガーの活躍が影をひそめる近年にあって、時代の隙間を縫うように頭角を現した彼女の一番の武器は、圧倒的な説得力を持つ歌唱力。  
名古屋のクラブシーンで約10年のキャリアを積んだ彼女の魅力が、最大限に引き出されている楽曲「Be…」は、まさに現代の音楽シーンに対して宣戦布告ともとれるナンバーだ。今年8月にはHOME MADE 家族の新曲にフィーチャリングで参加しているが、今後、様々なアーティストからオファーが来ることは間違いないだろう! 「Be...」2012/2/29発売