夢しずく

汐どきですかと おんなが訊けば
窓に伝わる 波の音
こう云う時の 黙んまりは
うなずく事です 同じです
肩から力が 抜けてゆく
おんな ひと夜の 夢しずく

男のその夢 貫くあなた
出来ぬ方なら 惚れてない
ふるえる指で カタカタと
月さえ落ちます 盃に
口には出せない 自分から
おんな 明日の 身のふりは

夜明けと云うのに 海辺の空は
雨の匂いに 陽もかげる
見納めなのね その背中
男気出さずに 棄ててって
負けない情けで 送りましょう
おんな ひと夜の 夢しずく
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