棒の哀しみ

目覚めた時は深夜だった
雨が小窓を うっていた
吐いた煙草も 寒々と
溜息まじりの輪をえがく
ああおまえがいなけりゃこの俺は
何んにもできない 何んにもできない でくの坊

空のボトルを 指先で
はじくその癖 その笑顔
冷たいベッドの手ざわりに
ゆうべはここにいたおまえ
ああ 独りで雨音聴きながら
今日からいつもの 今日からいつもの でくの坊

愛する時の しあわせと
同じ深さの この傷み
酒がいわせた一言を
酒に頼って 詫びている
ああ おまえがいなけりゃ この俺は
何んにもできない 何んにもできない でくの坊
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