地獄の門

蛇に魅入られたら 真っ逆さまに
堕ちよ 蛇の道深く
憎しみはたわわに
虚実は花と咲き乱れ実る
夢の瑕疵の 唾棄すべき腑

手をかけよ
命を以って
蒼白に開く指
まみえる前に

もしもおまえが
暗殺者ならば
迷い 嫉み
打ち砕くことができようか
悶絶せよ

堕落するときは いっそ見事に
血を吐き 毒に塗れ
奈落へと向かわん
其処でしか見えない天を仰ぎ
灼け爛れてゆく
明日を嗤えよ

縋り付き
這い上がる
鉄の汗 舌にのせ
喘ぎは至極

悪も穢れも
生きてゆくこその
痛み 証
涙を汚すより貴く
闘争せよ

愛を知りたくば 真っ暗がりへ
求めよ 赤子のように
叫びの胤の中
産まれるまえの闇 甦らん
選ぶがいい 戻るのか行くのか

もしもわたしが
征服者ならば
人の心
忘れ去ってしまえるだろうか
陥落せよ

邪に魅入られたら 真っ逆さまに
堕ちよ 蛇の谷深く
悦びはうららに
月華さえ最後に辿り着くは
底の土 静かなる塋域

堕落すべきとき さあさ華麗に
血を抱き 毒に淫し
奈落へと向かわん
この世の終わりには
果てがないと 嗚呼知るがいい
悶え盛る日々に!
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