誰も知らない

砂色に溶ける街
翼を忘れた鳩の群れ
声のない人の波
二人だけが影になる

枝の先すがる葉を
ふいに散らかした向かい風
時はただ過ぎてゆく
未来まで 奪いながら

きっとおんなじ幸せは二度は来ない
なにをすれば 記憶たちは 報われるのでしょう

どれほどあなたを
好きでいたか誰も知らない
心はいまでも 花をつける
こんなに

手のなかの指の感触(あと)
握りしめていたはずなのに
求めれば消えるもの
さみしさが息をしてる

読みもしないで捨てられた本の続き
もっと違う 物語が あるのだとしても

どれほど二人が
好きでいたか誰も知らない
夢の向こう側 残る陽ざし
あんなに

はじめからふたり
まるでここにいないように
なにも変わらない 空が巡る
あんなに

どれほどあなたを
好きでいたか誰も知らない
心はいまでも 花をつける
こんなに
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