伊豆の雨

宿の番傘 ふたりでさして
行けば川面(かわも)の 灯(ひ)に泣ける
愛しあっても どうにもならぬ
恋のおもさよ せつなさよ
頬(ほほ)につめたい ああ 伊豆の雨

たとえ逢う瀬は 短くたって
つなぐ情(こころ)が あればいい
春の湯けむり あまえる肩を
つつむあなたの あたたかさ
明日(あす)はいらない ああ 伊豆の雨

雨にうたれて ほのかに匂う
花は白梅 湯のかほり
悔いはしません 別れが来ても
命つくすわ この人に
夢をみさせて ああ 伊豆の雨
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