残されたもの

荒野かけぬける 風の音を聞いて
冬の訪れをじっと感じていた

とばりはゆっくりと
山のすそまで降りて

またひとりだけの時が始まった
またひとりだけの時が始まった

明日目覚めたら 枝の病葉さえ
きっと銀箔の空を旅してゆく

最後に残された
何かが解かれるように

もう捨てるものは何もなくなる
またひとりだけの時が始まった
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