夏草の線路

夏草に埋もれた線路は錆びた陽射しを集めて
立ち止まる踵を知らない町に誘うよ
霧の朝いちばん最後の貨物列車に託した
僕たちの遥かな未来は走り続ける

何時までもこの場所で
同じ夢見てたはずなのに
君は今靴紐気にして

枕木は季節を数えて蒼い土へと帰るよ
少しずつほどけるあの日の遠い約束

ポケットに忘れてた
石ころを高く投げてやろう
赤茶けたレールの向こうへ

何にも気づかずに
通り過ぎてしまえそうで
何処まで歩いても
終わりのない夏の線路

夏草に埋もれた線路は低く陽炎揺らして
七色にさざめく小さな風をはじくよ

僕のこと想う時
目を閉じて汽車を走らせて
聞こえない汽笛を聞くから

このまま気づかずに
通り過ぎてしまえなくて
何処まで歩いても
終わりのない夏の線路
いつでもまなざしは
眩しすぎる空を越えて
どんなに離れても
遠く君に続く線路
×