かんらん車

すいた電車が住宅街ぬけて
ひとしきり冬枯れをふるわす
あとに残った ひとりの足音は
川辺りの遊園地をたどる

さびついたかんらん車に腰をおろせば
ゆるやかに空は巡りはじめ
あなたの住むあたり広がってゆく
さよならが無性に恐かった
はりつめた想いが遠くなるの

いつしか雪が静かに舞いながら
チャコールの下界へと流れて
きっとあなたは窓の外を見てる
あのひとの肩を抱きよせて

つぎつぎと飛行船もゲームも止まり
粉雪が空を埋づめてゆく
終わりの暗示には美しすぎる
私だけ 冬空の旅人
地上に戻る頃 世界が止まる
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