あばれ玄海

時化がさらった 男船
妻という名も 波間に消えた
あばれ玄海 荒れるじゃないよ
形見の絣を 肩にかけ
酒を あんたと あゝ呑んでいる

うわさ世間の 流れ川
決めた覚悟の うす紅化粧
あばれ玄海 騒ぐじゃないよ
はたりと揺れてる 縄のれん
意地と涙で あゝ支えてる

雪の海面に 跳る風
忘れられない あの日が憎い
あばれ玄海 唸るじゃないよ
小指のほてりを 噛む夜は
夢であんたが あゝ逢いにくる
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