雪月花

遅すぎた 春でした 苦い酒飲みほして
ふらふらと歩きます ぼんやり 冬の月

幸せが怖いほど 行先も見えぬほど
ああ せめてせめて この心を許して

この町を捨てて行け 未練をつれて
夏は去り秋過ぎて

雪降れよ 雪積もれ この心に
焦がれ狂う想い どうか 凍らせてよ

今宵、月 名残月
折り合えぬ過ち 照らさないで
明けるまえに 一人汽車で旅立ちます

道に鳴る鈴の音 あかぎれた手が拾う
今でも胸を刺す 無邪気なあの声

この町を捨ててゆけ 惜しみつれて
秋は去り冬が来て

雪降れよ 雪積もれ この心に
焦(じ)れた熱に浮かされて もう戻れない

今宵、月 未練月
折り合えぬ過ち 二度と会えぬ
蒼(あお)い恋に 別れを告げ 旅立ちます

照らさないで明けるまえに 一人汽車で旅立ちます
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