湯島慕情

倖せを あげると誓った あの女(ひと)が
誰かと 倖せ つかんだ噂
湯島不忍(しのばず) おもかげ通り
揺れてせつない 水面の月が
男ごころに あぁ 沁みる夜

切通坂(きりどおし) いつもの茶店の 片隅で
あの時 あの手を 離さずいたら
湯島不忍(しのばず) おもかげ通り
一生逢えない 女(ひと)だと知って
風も泣いてる あぁ おとこ坂

梅の香に 誘われ歩いた あの女(ひと)の
黒髪 襟あし 睫毛のしずく
湯島不忍(しのばず) おもかげ通り
歳月(とき)も流れて 変わらぬものは
水の青さと あぁ 泣く千鳥
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