狭い物語

狭いこの部屋に刺さるベッドシーツ。
今も残ってる匂い小さな夢達。

白が染み付いた壁はぼやけたまま、古いアルバムの鍵を探しているの。

鏡に残る影、映り込む雨音。
枯れてゆく季節と耳鳴りを、傷つけた。

それは、夢じゃないの。
今も、ここにあった部屋で
抱き合ってるの影と、涙を流して。

最後の朝の光を、待っているの。
ひとり、望まない床を眺めていたの。

指でなぞる瞼、瞳はくり抜かれて。
水滴の傷跡、絡まる部屋を抱いて。

ここは、夢じゃないの。
今も、手のひらで触れてる、
浮かんでいるベッドで朝を迎えるの。

それは、夢じゃないの。
今も、ここにあった部屋で抱き合ってるの。影と体を重ねている。

夢じゃないの。今も、手のひらで触れてる。
浮かんでいるベッドで朝を迎えるの。
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