宵待ち歌

待ちくだびれて 宵おぼろ
あの娘の顔も わからない
俺がこれほど 純だとは
涙こぼして 気がついた

はじめて親に さからって
この愛ひとつ つらぬくと
若い娘が きつい目で
俺をにらんだ ことがある

息せききって 駆けて来て
このまま連れて 逃げてよと
重い鞄を さし出して
わたしあなたのものと言う

くちべにつけて 爪を塗り
女の匂い 少しつけ
急に大人のふりをして
なのに涙を流してる

いつしか宵は 夜になり
月見る花も 影になり
俺はこの娘の一生を
抱いて歩くと手をつなぐ
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