女は抱かれて鮎になる

風が鳴く 雲が啼く 霧に隠れて山が哭く
恋に疲れた 旅ならば 心はとっくに泣いている
湯煙りの 日暮れ里
蝉しぐれ かくれ宿
一日分の 悲しみを
洗い流して 拭きとるけれど
渇き切れない 洗い髪
あなたを今も 恋しがる
抱いて抱いて もう一度
抱かれりゃ 鮎になれるから

夜が鳴く 鳥が啼く 枕濡らして夢が哭く
息を殺して 指を噛み 寝たふりしてても泣いている
せせらぎの 川の音
忍び込む 月明かり
一日分の 切なさを
なだめすかして 添い寝をしても
帯を解いて 泳ぎたい
あなたの胸に つかまって
抱いて抱いて もう一度
抱かれりゃ 鮎になれるから
抱いて抱いて もう一度
抱かれりゃ 鮎になれるから
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