別れの桟橋

あのひとの あの船を
まるで隠すよに
霧が濃くなる 港町
せめて一日 あと一夜(いちや)
そばで甘えて いたいのに
別れの桟橋 涙の銅鑼(どら)が鳴る

縋(すが)りたい 縋れない
恋のやるせなさ
むせぶ霧笛が また泣かす
遠い旅路に 疲れたら
どうぞ帰って この町に
別れの桟橋 みれんの波しぶき

倖せな 想い出が
そうよ波のよに
寄せて返して 渦をまく
出来るものなら この胸に
錨(いかり)おろして 欲しかった
別れの桟橋 今夜は眠れない
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