33歳

やる事なす事 全部カッコ良く見えた
肉ジャガなんかもパンに挟んで食べた
俺の手を握り全速力で走って
「ちょっと浮いてたやろ」って得意げに笑った

今年で俺も33歳で
写真立てで笑う貴方と同じ歳

キャッチャー・ミットを突然買って来た貴方
俺を座らせて延々投げ込む貴方
酒を呑みながらタンスに腰をかけてギター
フォーク・ソングを涙ながらに歌った

子供みたいな大人だった
今思えば苦労もあったのにいつでも笑ってた

アドレス帳に名前と電話番号
女の子だけイニシャルだったって言う
懐かしむように貴方を語る母親は
心底貴方に惚れていたんだよ

貴方の選んだ宝石は
貴方に似て愛に溢れた人でした

お前の親父は昔むちゃくちゃやったって
酒に博打に女の子も泣かせたって
でもそれを語ってる親戚のおっちゃん達が
いつも決まって言うのは
「あいつは最高やった」って

貴方の生きた日々に沢山の涙が落ち
こうして巡り巡って笑顔の花が咲いた
むせ返った夏の日今年で俺も33歳で
改めて思ったんだ貴方はやっぱり最高だったんだ
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