秋の気配

あれがあなたの好きな場所
港が見下ろせるこだかい公園

あなたの声が小さくなる
ぼくは黙って外を見てる

眼を閉じて 息を止めて
さかのぼる ほんのひととき

こんなことは今までなかった
ぼくがあなたから離れてゆく
ぼくがあなたから離れてゆく

たそがれは風を止めて
ちぎれた雲はまたひとつになる

「あのうただけは ほかの誰にも
うたわないでね ただそれだけ」

大いなる河のように
時は流れ 戻るすべもない

こんなことは今までなかった
別れの言葉をさがしている
別れの言葉をさがしている

あゝ嘘でもいいから
ほほえむふりをして

ぼくのせいいっぱいのやさしさを
あなたは受けとめる筈もない

こんなことは今までなかった
ぼくがあなたから離れてゆく
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