化粧なおし

カモメおまえも 淋しいか
波止場が寝床じゃ 寒かろう
化粧なおしの 口紅引けば
あなた慕って 指がなく
海を見つめて 日が暮れる
海を見つめる 日が続く

寝物語と 判っても
信じて待つ身の じれったさ
化粧なおした この手鏡に
映る港の うす灯り
船が着く度 身を焦がし
船が着く度 振り返る

便り途絶えて 当てはなし
郵便受けには 風ばかり
化粧なおした 目尻の淵も
今じゃ涙の 通り道
お酒飲む程 酔えもせず
お酒飲む程 恋しがる
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