こいびとの昔語りの夕暮れの

こいびとの昔語りの夕暮れの
草野が黄金(きん)に染まる頃
土の香りに噎せ返る
山裾にひとつの旗
雨に汚れたままで
淀んだ風を呼んでいる

静けさは立ち昇り立ち昇り
夏の日の僕らの秘密は眠る
白い旗の元に
白い旗の元に

紅の涙と焔に焼かれて
ぼくらは何処まで静かになれるの
きらきらと朝露を残した
草の穂をかきわけてかきわけて
こいびとの昔語りのうつくしさ

寂しさは立ち昇り立ち昇り
しんしんとこの胸を呼び戻す
静けさは立ち昇り立ち昇り
なつのひの僕らは還る
白い旗の元へ
白い旗の元へ
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