少年シンドローム

アブラゼミが鳴いている
虫取り網持って探した
何もかも投げ出して
夢中になって君と追いかけた

サイレンが鳴ったって
気づかないで僕らずっと走った
夕闇に溶け出した二人の鼓動
僕は恐くなった

「大丈夫だよ」と君が言う
うつむいて何も言えないまま

またねって手を振った
またねって叫んだ
振り返らない君が
見えなくなるまで
優しさを知って
弱さと触れ合って
小さな僕は大人になった

アブラゼミが鳴いている
君のスカートを思い出していた
何もかも忘れても
楽にならないこと
それくらいわかるよ

「大丈夫だよ」と僕が言う
あの日の君に問いかけて

またねって手を振った
またねって呟いた
知らないうちに積った有耶無耶
あの日の少年は
泣いてた少年は
今の僕より強かった

夜になってもないていた
朝になってもないていた

またねって手を振った
またねって叫んだ
もう二度戻れない日々抱き締め
優しさを知って
弱さと触れ合って
夕闇を走り抜けるよ

小さな僕は大人になった
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