海猫

沈む夕陽を 指で拭きとって
口紅(べに)のかわりに さしたなら
もっと悲しく なれるでしょうか
海猫あんたも いい人が
憎み切れない いい人が
どこへ帰るの ねぐらはあるの
このまま命 投げようか
それとも遠く 逃げのびようか
ちらり…よぎるは 母の顔

靴を脱ぎ捨て 波に浮かべたら
知らぬ港に 流れ着き
誰か拾って くれるでしょうか
海猫あんたも 悲しみが
忘れ切れない 悲しみが
どこで眠るの 枕はあるの
このまま死んで しまおうか
それともひとり 生き続けよか
ちらり…よぎるは 母の顔

海猫あんたも いい人が
憎み切れない いい人が
どこへ帰るの ねぐらはあるの
このまま命 投げようか
それとも遠く 逃げのびようか
ちらり…よぎるは 母の顔
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