何でもない朝に

不思議と 幼い頃には
どんな悲劇も救われる気がして
あいつが死んだ朝には
映画みたいに泣けやしなくて

知らない間に
夢は覚めて
将来とか世間体とか

気が付いたら
大人になって
奇跡の一つも知らないまま

何にもない 何にもない
眠い朝だって
誰かの儚い未来を
踏み台にして 欠伸して

何でもない 何でもない
幸福なんかが
悲劇の終着点だと
ねえ今の僕に
知る由もないよ

名前も知らない犠牲者は
こんな夜も奇跡と思うでしょう
明日が来なきゃいいとか

そこそこに僕は思うけど

いつからか
都会も慣れて
懐かしい匂いも知ってさ
迷惑と心配ばかりで
ごめんの一つも言えないまま

何にもない 何にもない
眠い朝だって
誰かの夢の続きで
ハッピーエンドかもしれないから

何でもない 何でもない
幸福なんかが
どれほど眩しいものか
ねえ今の僕は
ねえ幸せでしょうか

もう誰も知らない
おとぎ話
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