睡蓮と蝶

「タイセツナアナタ」
あたしの上で
声上げる姿、哀れだわ
猫なで声で呼ばれるの好きでしょう?
うわべだけのごっこ遊び、楽しむ

アナタへ
隠せない 傷痕あげる
追いかけてすり抜ける 蝶々よ

バカね
歯の浮くような台詞を吐いて
随分、酔狂な宴ね
稚拙な欲であたしを征服してるつもり?

そう、罰は一番理不尽なものでしょう

消す事のできない記憶
心根を抉ってあげるから

踊れ
掌の上、取り繕いもがく
虚しいザマを見ててあげる
脳天先から爪先をなぞり 堕ちて見せて
ほら…

そうよ
好きと嫌いの二律背反
もがき苦しむのはあたしね
心地良い束縛、抱かれたままに堕ちていける

歯の浮くような台詞吐いて
随分酔狂な宴ね
癖になるほど強引なキスで忘れさせて…

白い熱で 縫い止められた 蝶々

睡蓮の部屋で
あたしは一人
絶望の音を、聞いていた
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