小さな食卓

冬の寝室では、窓に文字を書いて
遊ぶ子供達。ゆっくり大人になった。
風呂に炎を灯し、理由も無く笑える。
空もろくに飛べないが、ゆっくり大人になった。

階段を上がる音が聞こえて。「ぎしぎし」と。
毎日のいのちの営みを。

僕らの悲しみや苦しみは、分かち合って食卓の料理に並べた。
君の慈しみや優しさは、スープの中。
誰かを救うことに気付かないまま。

階段を上がる音が聞こえて。「ばたばた」と。
君はいま洗濯物を手に。

僕らの悲しみや苦しみは、分かち合って食卓の料理に並べた。
君の慈しみや優しさは、スープの中。
誰かを救うことに気付かないまま。
それは僕らの場所。
いつもそこに。
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