WARP

高速道路沿いに広がる街にはもう用が無くなった。

ガスのにおいにも飽きた。

君はすこし華奢な身体で、僕の声にうなずいていた。

それなら、これから起こるドラマを車の鍵に託して、

このまま知らない国へ行こう。

誰にもばれないうちに行こう。

仕掛けるタイミングを密かに図ってる。

物音ひとつ立てず、今かと狙ってる。

どうしましょ、と囁く君が闇の中で怪しく笑う。おおいに結構!

12時の鐘を合図に車に飛び乗ったなら、

このまま知らない国へ行こう。

なおさら速度は上げていけ。

繋がることの無かった手と手を重ね合わせて、

このまま知らない国へ行こう。

誰にもばれないうちに行こう。

このままふたりの国へ行こう。

それなら速度は最高で、僕と行こう。
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