かくれ宿

枕のしたを 流れゆく
川の瀬音が 身にしみる
ねむれないのよ あゝ辛いのよ
胸を重ねて あなたにすがる
伊豆の天城の かくれ宿

別れましょうと 言いながら
逢えば命が 火と燃えて
罪をかさねて あゝ来たふたり
いいの私は 宿帳だけに
添うて淋しい 仮の妻

情けの糸を つないでも
旅の終りが 近くなる
これが最後の あゝ恋一夜(ひとよ)
落ちてゆきたい あなたが欲しい
いっそ明日は 雪になれ
×