北のわらべ唄

故里(くに)はどこさと 聞いたから
ここだと胸を 指さした……ハァ

「雀はチュンチュン 忠三郎
烏はカァカァ 勘三郎」

北のひと節 ひと泣きが
屋台くぐって 風になるじゃエー

盆にゃこいよと いう母に
いくよと手紙 書いてみた……ハァ

「雀はチュンチュン 忠三郎
烏はカァカァ 勘三郎」

ぽつりぽつりと 降り出した
雨が心の 窓を打つじゃエー

夢はなにさと 聞いたから
唄だと酒に つぶやいた……ハァ

「雀はチュンチュン 忠三郎
烏はカァカァ 勘三郎」

北のわら葺き わらの穂が
酔いにからんで 雪になるじゃエー
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