LIVE REPORT

THE BACK HORN ライブレポート

THE BACK HORN

THE BACK HORN JCB HALL

2009年04月29日@JCB HALL

撮影:橋本 塁/取材:石田博嗣

2009.04.20

音楽は音符の組み合わせであり、その羅列が美しく並ぶことで旋律を描き、ひとつの楽曲が完成する。そこには無数のパターンがあるとはいえ、次第に似通ったものが生まれ、やがては尽きてしまうかもしれない。...というのは、あくまでも机上論だ。そのことを、このライヴを観ていて実感した。結成10年という節目を経て、感覚的に音を共鳴させて『パルス』というアルバムを完成させたTHE BACK HORN。そして、バンドの原点であるライヴハウスを回るなど、全52本という自己最長のツアーを行ない、その最終公演としてJCB HALLのステージに立った。1曲目の「世界を撃て」から目の前の何千という観客に闘いを挑むかのような鬼気迫る気迫が4人に感じられ、放たれる音の威力も尋常ではない。長いツアーの中でバンドがよりピュアに、感覚的になっているのだろう。“バンド感”や“熱”、“勢い”、“瞬発力”といった『パルス』を形成しているものを全解放し、生々しいまでの生命力を持つバンドサウンドでもって、瞬く間に会場中の空気を自分たちのものに変えてしまった。さらに、感情という目に見えないものを音という目に見えないもので表現し、聴く者に心をえぐるような衝撃を与えていく...その様も圧巻だ。山田将司(Vo)がダブルアンコールの時に“『パルス』っていうアルバムが今日のライヴで本当の意味で完成したんだなと思っています”と語っていたが、まさにひとつひとつの音が、声が感情を持っている。つまり、そこにはメンバーそれぞれのパッションが詰まっているということだ。それはピュアになればなるほど、感覚的であればあるほど、説得力と殺傷力を増し、唯一無二な存在となる。であるなら、その音楽の可能性や発展性は無限だろう。...ということを、肌で感じさせられたライヴだった。
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