LIVE REPORT

メガマソ ライヴレポート

メガマソ ライヴレポート

【メガマソ ライヴレポート】 『MEGAMASSO FINAL LIVE “世界が正しい夜に、 ここにいて。”』 2017年11月23日 at 北とぴあ さくらホール

2017年11月23日@

撮影:新倉映見/取材:清水素子

2017.11.29

1曲目の「シスタン」でライヴが幕開けてもオーディエンスは身じろぎもせず、じっと息を飲んでステージの行方を見守っていた。結成から11年を経て、解散という決断を下したメガマソのラストライヴ。歓声のひとつもあげず、最後の晴れ舞台を五感に刻みつけようと立ち尽くすオーディエンスの光景は、メガマソがひたすら独特な世界観を描き出すことに心血を注いできたことの何よりの証だっただろう。身体的パッションを放出させるスタイルが大多数を占めるバンドシーンにおいて、彼らは間違いなく特異な存在であった。だからこそ、熱烈に心酔されてきたのである。

その証拠に最初のMCでインザーギ(Vo)が“俺たちがメガマソだ!”と声をあげると、割れんばかりの歓声が返る。“俺たちにとって特別な日です。忘れられない1日にしたいと思いますので、今日はとことん付き合ってください!”と続けた彼が求めるまま、「ライデンムシュフシュ」では“ハイ! ハイ!”と拳が振り上がり、その光景にGou(Ba)が思わず口元を緩める瞬間も。しかし、すぐに顔を引き締めてクールな佇まいを崩さなかったのは、“いつもと変わらない特別な1日にしたい。いつも通り楽しんで”(インザーギ)という想いの表れでもあっただろう。涼平(Gu)の笑顔満開ぶりも普段と変わらず、“特別”を示唆するのは全員白で揃えた衣装のみ。その姿は楽曲の情景を色鮮やかに映し出す中盤で、摩訶不思議なムードをより濃厚なものとし、「君は埋没林に向かう。」でインザーギの朗々たるアカペラに耽溺させる。予定調和とは一切無縁の何が飛び出すか分からない不条理なワンダーランドは「DeepSnow」で爽快に疾走し、ヘッドバンギングとコールが吹き荒れる「ベゾアルステーン」で赤く燃え上がって、“君たちのために”と贈られた「ザワールドイズマイン」でクライマックスへと飛翔。そして、しっとりと進んだ「ichigoサマーデイズ楽しみさい」のアウトロで、変拍子をバックに涼平が爪弾く学校チャイムで終わりを告げる。あまりにも美しい締め括りは、“どんな音を出すか”よりも、“どんな世界を作るか”にこだわってきた彼らならでは。最後のステージを迎えても、だから安心しているのだとインザーギはアンコールで語った。

“俺たち、すごく楽しそうでしょ? なんでこんなに楽しめるんだろう?って考えてみると、きっとメガマソっていう世界がほんとにしっかりしてて。例え今日が最後だとしても、その世界はなくならないから”とインザーギ。涼平も“明日バンドが終わっちゃうのに、明日恋をしそうな予感がする”と予想外の感情に襲われていると告白し、Gouは“まずふたりにありがとうって言いたい。武道館やりたいって言ってたんですけど、できなくてごめんなさい。でも、このステージに今、立ててることがすごく嬉しいです”と話してくれた。その嘘偽りのない誠実さが、何より嬉しい。

ダブルアンコールでは最新シングル「ふとん史」でラウドに、代表曲「LIPS」でキャッチーに爆発。インザーギは涼平、Gouとそれぞれと微笑み交わしてセンターに集合すると、“全員で思いっ切り叫んでくれ!”と始まったデビュー作「涙猫」では、一斉に“猫の手振り”を繰り出す客席から大合唱が! そのバックには当時のMVとリアルタイムの彼らが交互に映し出され、メガマソでの11年が3人を人として、アーティストとして成長させたことを明らかにする。それはインザーギが叫んだ通り、まさしく“最高の思い出と最高の宝物と、俺たちの全てが揃った”瞬間。そして、それぞれに笑顔でハグし合い、3人で手をつないで一礼すると、ステージの去り際にインザーギが放った言葉が、オーディエンスの涙を振り切る。

“MC中にGouが武道館...もっと大きな会場で、みんなにすごい景色を観せたかったって言ってましたけど、それはメンバー全員が思ってました。今でも思ってます。僕はまだやっぱり諦められないです。僕はその夢を叶えるために、まだ歌い続けると思います。Gouも涼平もきっと音楽を続けてると思います。だから、僕はまだ諦めてない! その日を俺が叶えてやる! だから、あえて言わせてくれ。最後にひと言。また会おうぜ!”

鳴りやまない拍手の中、深々と頭を下げたインザーギの瞳は、次の夢に向かって輝いていた。人生、何が起こるか分からない。だから彼らも、私たちも、何かを諦める必要などひとつもないのだ。

撮影:新倉映見/取材:清水素子

メガマソ

メガマソ:2006年12月結成のヴィジュアル系ロックバンド。Shibuya O-EASTで1日2公演行なったデビューライヴは両公演ソールドアウトという破格のデビューを飾った。16年12月から1年間の冬眠(活動休止)を経て、17年6月に10周年記念アルバム『天使崩壊』をリリース。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 3

    3.トローネエンゼル

  2. 4

    4.みなづき、みっそう

  3. 5

    5.ライデンムシュフシュ

  4. 8

    8.まんげつのよるにぬけだして。

  5. 9

    9.君は埋没林に向かう。

  6. 11

    11.DeepSnow

  7. 12

    12.肌色

  8. 13

    13.ベゾアルステーン

  9. 14

    14.粉雪多量摂取

  10. 16

    16.ザワールドイズマイン

  11. 18

    <ENCORE1>

  12. 20

    2.ステイ with ミー

  13. 21

    3.SWANSONG

  14. 22

    4.パラディサヘイロー

  15. 23

    <ENCORE2>

  16. 25

    2.LIPS

  17. 26

    3.涙猫

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