LIVE REPORT

Mrs. GREEN APPLE ライブレポート

Mrs. GREEN APPLE

【Mrs. GREEN APPLE】 『ゼンジン未到とロワジール〜東京編』 2017年7月15日 at 日比谷野外大音楽堂

2017年07月15日@日比谷野外大音楽堂

撮影:ウチダ アキヤ/取材:宮本英夫

2017.07.22

梅雨明け間近の東京、むせ返る熱気、蝉の声。立見席までぎっしり満員の日比谷野外大音楽堂に、Mrs. GREEN APPLEが夏を連れてきた。大森元貴(Vo&Gu)がバンドロゴを染め抜いた大旗を掲げる威風堂々の入場シーンから、1曲目「StaRt」で波に乗ると、「リスキーゲーム」では早くもタオル回しで大はしゃぎ。藤澤涼架(Key)のピアノによる、絶妙なループ感が気持ち良い「アンゼンパイ」から、若井滉斗(Gu)が猛烈ラウドギターをかき鳴らす「ナニヲナニヲ」へ。暑さに負けず、メンバー全員気合満点だ。

「HeLLo」では、髙野清宗(Ba)がご機嫌なファンクベースを、「Oz」ではクールなシンセべースを弾く。大森がハンドマイクに持ち替えてステージを駆け抜ければ、藤澤も負けじと、キーボードを離れて踊りまくる。自由自在のフォーメーション。ミセスのライヴは、目で観る喜びが本当に大きい。立て続けに、ディスコビートの「VIP」、山中綾華(Dr)のパンキッシュな豪快ドラムが聴ける「CONFLICT」、日本のお祭りビートを取り込んだ「No.7」など、アッパーなダンスロックの連発は、ミセスの得意分野だ。一転して、アコースティックセットで歌われた「ノニサクウタ」は、暮れなずむ野音の空と、時折吹く涼風によく似合う、心温まるスローバラード。ミセスの曲調の多彩さは、ライヴの空気の中でこそ、その魅力を最大限に堪能できる。

この日はバンド結成4年、デビュー2年を祝う記念の野音。大森が感謝の言葉を述べ、“一緒に答えを探しに行きましょう”と呼びかける。続けて演奏した新曲「On My MiND」は、ともに夢を追い、答えを探す者同士をつなぐ、力強いメッセージソング。シンプルなエイトビートで突っ走る、痛快な一曲だ。

ここからライヴ後半、とことんポップでハッピー、キャッチーでダンサブルな楽曲を並べて一気に加速する。夏のアンセム「サママ・フェスティバル!」では、大森と藤澤が噴水器を背負って客席に飛び込み、客席を駆け回った。「Just a Friend」は、アメリカのヒットチャートにあってもおかしくない、ミセス流ティーンポップの傑作チューン。コーラスを大合唱する、一体感も最高だ。「うブ」「WHOO WHOO WHOO」(未CD化曲)ではスタジアムEDM並みの強力な重低音が轟き、野音をダンスフロアーに変えた。陽はすっかり落ち、ステージの照明が一段と美しく輝き始める。“みんなの歌です”と紹介した「In the Morning」から、「愛情と矛先」へ。あちこちで一緒に歌う声が聴こえてくる。ミセスの歌はみんなの歌、ある思いを共有する時代の共通言語になりつつある。

いろんな時の気持ちが蘇ってきた。楽しかった。忘れられない1日になった。すべての歴史が今日に詰まってる――メンバーひとりずつのMCのあと、本編ラストを締め括る1曲は、「庶幾の唄」。山中のドラムがうきうきするビートを刻み、藤澤のフルートがハッピーなフィーリングを運んでくる。どんなに曲調が変遷しようと、ミセスはミセス。ポップで前向きで、聴く者をハッピーにしてくれるフィーリングは過去も現在も変わらない。

アンコールでは、ピカピカの新曲が聴けた。ドラマ『僕たちがやりました』オープニング曲「WanteD! WanteD!」は、重低音をブーストしたEDMのサウンドを大胆に取り入れ、くるくる変わる景色が楽しいミセス流のポップEDMチューン。いきなりライヴの定番になりそうな、ポテンシャル抜群の1曲だ。

楽しい時間は、もうすぐ終わる。感動を隠し切れない大森が語り出す。小学生の時に音楽を始めてから、全てを音楽に賭けてきたこと。その裏側で、さまざまな葛藤や不安があったこと。そして今、観ている景色に感謝していること。“みんながいてくれたから、僕は本当に幸せです。メジャー3年目もどうぞよろしく”。ラストチューン「我逢人」を演奏するメンバーの顔に迷いはない。そこにはただ、漲る自信と未来への希望があるだけだ。

ライヴタイトルの“ゼンジン未到”とは、バンドがアマチュア時代の2014年~2015年に行なっていたイベントのタイトルだった。過去を受け継ぎ、その先の未来へ。Mrs. GREEN APPLEはいよいよ、本当のトップバンドへの道を見据えて走り始めた。

撮影:ウチダ アキヤ/取材:宮本英夫

Mrs. GREEN APPLE

ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、7月8日にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。17年1月に発表したセルフタイトルの2ndフルアルバム『Mrs. GREEN APPLE』はオリコン初登場9位、デジタルチャートでは7位を記録。4月には自身初の映像作品『In the Morning Tour - LIVE at TOKYO DOME CITY HALL 20161208』をリリースした。

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    14.サママ・フェスティバル!

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