自分のいろんな恋愛の総集編みたいな歌なんですよ(笑)。

―― アルバム1曲目「わけじゃない」は、まるりとりゅうがの人気曲「気まぐれな時雨」や「幸せになって」に並ぶ、切ない歌ですね。Ryugaさんはラブソングを作る際、失恋を描くことが多いですか?

photo_02です。

Ryuga そんなに失恋ソングが好きだったわけじゃないのに、いつのまにか降ってくるのが悲しい言葉ばかりになっていたんですよ。あとハッピーな感情って、悲しい感情と比べると膨らませづらいというか、幸せを表す言葉も少ない気がして。となると、悲しみを表現する情景とか物語のほうが浮かびやすいから、失恋ソングが増えていったのかな。

―― 恋バナでも幸せなトークってそんなに続かないですもんね。

MaRuRi たしかに!のろけ話とか聞いても「へぇ~!そうなんだぁ。うらやましい~」で終わっちゃいますね。でも彼氏とケンカした話とか片想いの話とかは「で?で?で?」ってどんどん続いていく(笑)。

Ryuga 聞いている側も「それはこういうことなんじゃないの?」とか「こうするのはどう?」とか意見が浮かんだりもしますし。だから悲しい曲のほうが奥が深いですね。あとはやっぱり、僕自身の体験と、作った時の心境も大きく影響しています(笑)。

―― 今回は“裏切られた側”の歌なので、いっそう孤独感が強いですね。もう冒頭の<誰も通らない道を探して 無理矢理独りになった>というフレーズから伝わってきます。

Ryuga ありがとうございます。この歌詞は本当に、自分がこの通りに行動したんですよ。つまり実体験です。誰も通らない電柱のそばにしゃがんで、独りになって、ボーっと携帯を見ていて。そうしたら画面の光に虫が寄ってきて「邪魔!」って(笑)。で、そのとき自分が見たものを客観視したときに「あ~、これはもうメモしておこう」と思って。

―― 実体験ということは、そのときご自身はすごく悲しい気持ちなわけですよね。その状態で冷静にメモできるのは、職業病ですね…。

Ryuga そうかもしれないですね。あと<更新されないSNSを ずっと指でこすった>っていうのも事実で。携帯をシャカシャカこすっている一方で「これを歌詞にしたらどうかな」と考えていました。とくに<光に群がる虫を払って 無理矢理独りになった>ってフレーズはお気に入りです。虫さえも嫌なくらい、独りになりたかった気持ちを表現できたなぁと思います。

―― 独りになりたいし、<誰にも分からない 分かって欲しいわけじゃない>。だけどどの「わけじゃない」の先にある“でも”の感情が複雑ですね。

Ryuga 僕のなかでは「わけじゃない」って言葉は“強がり”みたいなものなんです。サビの<誰にも分からない 分かって欲しいわけじゃない>とか<巻き戻せるなら 巻き戻したいわけじゃない>っていうのは強がりで、その次の<でも心の拠り所きっと探してた>、<でも君と過ごした日々は消えないしな>っていうのが本音。だから「わけじゃない」って言いながらも「わかってよ」って気持ちが込められているのが、この曲なのかな。

―― MaRuRiさんは、どの歌詞がRyugaさんの実体験かとか、事前に訊くのですか?

MaRuRi いや、何にも知らないんですよ。こういうインタビューとかで初めて「そうだったんだ~!」って思います(笑)。

―― ちなみに<僕>のように好きなひとに裏切られた経験ってありますか?

MaRuRi 裏切られた経験かぁ…。私はそこまで恋愛で傷つきたくないので「あ、これうまくいってないな。別れるパターンのやつだな」って察知した時点で、もう別れちゃうと思います。前もめっちゃ好きだったひとがいたんですけど「このひととはもう続かないだろうなぁ。これ以上は叶わないなぁ」って思って、終わった恋がありました。実は、その時期に書いた歌詞が、今回の「リピート」なんですよね。

―― その「リピート」は、MaRuRiさんが初の作詞作曲を手掛けた楽曲ですが、いつ頃から自分でも曲を作ってみたいと思うようになってきたのでしょうか。

MaRuRi もともと歌手にはなりたかったんですけど、自作自演のシンガーソングライターというよりは“シンガー”という感じだったんですね。それが、まるりとりゅうがを結成して、Ryugaくんが曲を作るようになって、徐々に「私も書けたらいいな、書きたいな」って気持ちが強くなっていきました。でも歌詞は結構スッと書けるんですけど、楽器が全然できないから、作詞作曲となるとうまくいかなかったんです。

だけど今回の「リピート」は、最初の<たった1つくらいの 恋が終わったくらいで きっとこの先 また同じような恋をするんだろうな>ってフレーズが、歌詞もメロディーも一緒に降りてきて。それを聴いてもらったら「良いじゃん!」って言っていただけたので、そこからRyugaくんとかにアドバイスをもらいながら、完成させていきましたね。

―― <あなたの好きな甘めの味付け 気付いたらまた甘くしちゃってる その度思い出しちゃうあなたの 美味しいと目が無くなるその笑顔>というフレーズなんて、すごくリアルでキュンとしました。これは経験していないと書けないですよね。

MaRuRi ありがとうございます!ただ、さっき言った“めっちゃ好きだったひとと別れたとき”に書いたフレーズはサビ部分くらいで。あとは想像とか回想とか、今までの自分のいろんな恋愛の総集編みたいな歌なんですよ(笑)。「リピート」って“繰り返し”って意味ですけど、今まで22年間いっぱい恋愛をしてきたはずなのに、本っ当に同じことを何度も繰り返していて「何なの!?」と思って(笑)、いい加減もう先に行きたい!って気持ちで書いた歌でもあります。

―― そして配信シングル曲の「はじまりの唄」は、まるりとりゅうが史上最大に幸せな曲ですね。

Ryuga 今回はウェディングソングということで、思いっきりハッピーにしてみました。でも僕たちはまだ結婚式にあまり行ったこともないですし、結婚してないですし、結構難しかったですね。だから「こういうことが言えるひとになりたいな」という気持ちを軸に書いてきました。もし友達が結婚したときに、伝えられたらいいなという言葉を想像したり。

あと、一応『ゼクシィ』を買ってみたりもしました!そこから何かしらのインスピレーションを得ようとしたんですね。だけどめっちゃ重いゼクシィを片手に持ちながら、歌詞を考えた結果、得た言葉は<チャペル>くらいでしたね(笑)。まぁそのワードは、俳句で言う季語みたいなもので、この歌に<チャペルの鐘の音に 包まれて僕は誓うんだ>というフレーズを入れたことで、一気にウェディングソングっぽくなったなと思います。

―― この「はじまりの唄」は、本当に“理想の二人”という感じですが、お二人にとっての理想の恋愛というと…?

MaRuRi 私は結構…めちゃくちゃラブラブが良いタイプです(笑)。ずっとキュンキュンしていたいし、記念日もひとつひとつ大事にしたい。

―― そうなんですね…!MaRuRiさんはサバサバしているようなイメージがありました。

photo_02です。

MaRuRi それ本当よく言われるんですよ~。でも真逆ですから(笑)。私は両親がすごく仲良くって、50歳の誕生日にはちゃんとプレゼントを渡して、メッセージカードには「残りの50年もよろしくね」みたいなことを綴っていました。そういう姿を見て育ったので、恋愛になるとまったくサバサバしてないんですよね。全部ちゃんと言葉にしたいし、まさに「はじまりの唄」なんてめっちゃ理想です。

Ryuga 僕は…そうだなぁ…、尊敬し合える関係でいたいですね。一緒にいるとお互いを高められるし、ふざけるときにはふざけられるような。あと「はじまりの唄」ではMVも撮ったんですけど、本物の結婚式にカメラを入れさせてもらったんです。その新郎新婦のお二人が、理想だなぁと思いました。まず何より幸せそうだったし、友だちや家族からも心から祝福されるのって良いなぁと。僕も周りから応援されるような二人で在りたいなと思いますね。

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